Texas Instruments(TI)は4月19日、システム設計において限定された動作範囲や時間の掛かる調整処理から解放する、モーター制御ソリューション「InstaSPIN-MOTION」を発表した。
「InstaSPIN-MOTION」はトルク、速度およびモーション(加減速などの動作)を制御する包括的なソフトウェアであり、多様なモーションの状態遷移で動作する各種モータアプリケーションに、高効率で堅牢なシステム性能を提供するというもの。既存のモータ制御ソリューション「InstaSPIN-FOC(フィールドオリエンテッド制御)」を元に構築されており、複雑なモーションシーケンスを最適化するよう設計されており、調整を単一パラメータに削減するとともに、動作範囲全体にわたって、高い精度で理想曲線への追従を実現する。
同ソリューションは、高度なFASTソフトウェアセンサの利点を活かして、回転子の磁束計測を行う他、FOCのトルクコントローラ内でモータの識別機能、自動的な電流制御調整およびセンサレスフィードバック環境を提供することで、高効率でセンサレス、そして幅広い負荷範囲の三相モータソリューションを素早く展開できる。
同社のPiccolo 32ビットマイコン「C2000」のROM内に組み込まれたInstaSPIN-MOTIONのコアアルゴリズムは、LineStream Technologies製SpinTACコンポーネンツを内蔵しており、モーションプロファイルの最適化、単一パラメータの調整および、外乱除去コントローラを搭載し、開発期間の短縮、速度および負荷の変化範囲にわたって性能を向上させることが可能で、例えばモータに必要なモーションを他の手法で定義するために、単純化され柔軟性の低い制御曲線を使用することで、逆に機械的なストレスを発生させてしまうといった、非効率な古い設計技術を排除することができる。
また、SpinTACコンポーネンツは、最適な追従および外乱除去を確保し、システムの実際の慣性モーメントに対応するほか、単一パラメータの調整だけで、最小限の作業で複雑さを低減。緩やかな応答から厳格な応答まで、速度制御を迅速にテスト・調整し、コントローラのゲインを定義することが可能。これらは通常、1つのアプリケーションの可変速度および負荷範囲に渡って使用できるほか、開始速度、目標速度、および加速度、ジャーク(加加速度)およびモーションの制御曲線などのシステムの制限値から、自動的に最適化されたモーションプロファイルが生成できる。また、多様な運動状態(Speed AおよびSpeed B)を素早く作成し、それらを状態ベースでの論理的に結合することが可能だ。
さらに、次世代モータ制御ソフトウェア環境「MotorWare」を使って、素早い開発および評価を実現することが可能となった。
なお、InstaSPIN-MOTIONに対応した90MHz動作、32ビット浮動小数点演算機能を備えたPiccoloマイコン「F2806xM」が1万個受注時10.22ドルですでに出荷を開始しているほか、モータ設計向けの低電圧、低電流モータ制御キット「DRV8312-69M-KIT」は299ドル、低電圧、高電流モータ制御キット「DRV8301-69M-KIT」は299ドル、高電圧モータ制御キット「TMDSHVMTRINSPIN」は699ドルで提供されている。また、すでにモータ制御開発キットを購入済みのユーザーには、「InstaSPIN-MOTION」対応のPiccolo controlCARD「TMDSCNCD28069MISO」を99ドルで提供される。