CERN(欧州原子核研究機構:the European Organization for Nuclear Research)は3月14日、ATLAS(A Troidal LHC Apparatus)実験およびCMS(Compact Muon Solenoid)実験が行ってきたヒッグス粒子の探索に関する新たな暫定結果として、2012年7月の報告時から約2.5倍のデータをもとに解析した結果、新粒子はヒッグス粒子である可能性が高まったことを発表した。

ヒッグス粒子かどうかは、ほかの粒子とどのような相互作用を及ぼすかという点と、粒子の量子力学的性質で決定される。標準理論のヒッグス粒子であればスピン角運動量は0で、空間反転に関する対称性(パリティ)はプラスと考えられており、2つの実験におけるさまざまな解析からはスピン0とパリティプラスの組み合わせが実験データと一致していることが示され、これまでの新粒子とほかの粒子がどのような相互作用をするのかという測定結果と合わせると、この新粒子がヒッグス粒子であることが強く示唆されたと研究グループでは説明する。

ただし、この新粒子が本当にヒッグス粒子であるのか、それとも標準理論を超えたいくつかの理論で予言されている複数の新粒子の一番軽いものであるのかについてはまだ不明で、さらなる精密測定の実施と理論予想と比較する必要があるが、1つの事象を見つけるのに1兆回の陽子・陽子衝突が必要となるため、すべての崩壊モードを調べるために必要なデータをLHCを用いて取得するためにはまだかなりの時間を要するともコメントしている。

ATLAS検出器 (c)CERN

CMS検出器 (c)CERN