米Big Switch Networksは3月5日、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)およびネットワンシステムズと販売代理店契約を締結し、国内でSDN(Software-Defined Networking)ソリューションの提供を行うとを発表した。

提供開始するのは、SDNのネットワーク・アプリケーション・プラットフォームとなるソフトウェア製品「Big Network Controller」、Big Network Controllerを制御し、ネットワーク仮想化を実現するアプリケーション「Big Virtual Switch」、セキュリティツールやパフォーマンスツール、ネットワークパケットブロッカーと連携して動作する統合ネットワーク監視アプリケーション「Big Tap」の3製品。

Big Switch Networks提供製品「Big Network Controller」、「Big Virtual Switch」、「Big Tap」。「Big Network Controller」を制御するNorthbound APIは公開され、サードパーティがアプリを提供することも可能

「Big Network Controller」

Big Switch NetworksのCEO/共同創立者 グイド・アッペンツェラー氏

Big Switch NetworksのCEO/共同創立者であるグイド・アッペンツェラー氏は、「米国以外で製品を提供するのは、日本が初めてとなる。現在はカルフォルニアの事務所でサポートしているが、日本では、SDN成熟化が進んでおり、将来的には、日本に事務所を開設したいと考えている。われわれの製品の重要な点はオープンなソリューションであることだ。これにより、どんな物理スイッチでも、どんなハイパーバイザーでも利用でき、ベンダーロックインを排除できる 。これにより、データセンター内でシステムをどこにでも置け、利用率をあげることが可能になる。これまでの導入例では、25%から50%の運用コストが削減されている」と述べた。

「Big Virtual Switch」

「Big Tap」

CTCでは、Big Switch Networks製品を利用したソフトウェアでネットワークを制御するSDNソリューション提供を同日より開始。同社では、マルチ仮想データセンターの実証実験も開始しており、ソフトウェアによる制御で、柔軟かつ効率的な管理を実現するITインフラソリューションを、「Software Defined Infrastructure」というコンセプトのもと推進している。

同社では、SDNソリューションの提供開始にあたり、同社が保有する総合検証センターでの技術検証、大量の通信トランザクションが発生する通信ネットワーク事業者と協業した実証実験を行ったという。

今後は、マルチベンダー環境での大規模インフラ構築実績、自社データセンター運用ノウハウを活かして、顧客のスムーズなシステム導入と、クラウド基盤やビジネス状況に応じたITインフラ構築を支援していくという。

CTCの考えるSoftware Defined Datacenter

伊藤忠テクノソリューションズ 取締役 兼 常務執行役員 エンタープライズシステム事業グループ担当役員 櫻庭槇一郎氏

伊藤忠テクノソリューションズ 取締役 兼 常務執行役員 エンタープライズシステム事業グループ担当役員 櫻庭槇一郎氏は、「CTCはサーバの仮想化やクラウドコンピューティングをビジネステーマとしてきた。最近はデータセンターの稼働、負荷、最適化をモニタリングして、ソフトで制御したいというニーズがでてきている。CTCはオープンでマルチベンダーの会社であり、Big Switch Networksを選択するのは、当然な流れだ」と述べた。

一方、ネットワンシステムズも同日より、Big Switch Networks製品提供を開始。

同社では、Big Virtual SwitchをCitrix CloudPlatformやOpenStack等のクラウドオーケストレーションソフトウェアと連携させることで、生成する仮想マシンの設定に連動してネットワークを自動的に設定。運用負荷の削減を狙うとともに、F5 Networks/Palo Alto Networks/vArmour等のサードパーティによるアプリケーションデリバリー製品・セキュリティ製品等をBig NetworkControllerと連携させることで、特定の仮想マシンやサービスに対してこれらの機能をオンデマンドで簡単に付加することを可能にしていく。

主な販売対象は、データセンター事業者・通信事業者・大規模企業・研究所で、本製品群と連携したハードウェア・ソフトウェア・サービス全体で、3年間で70億円の売り上げを目標にしている。

ネットワンシステムズ ビジネス推進グループ 執行役員 篠浦文彦氏

ネットワンシステムズ ビジネス推進グループ 執行役員 篠浦文彦氏は、「SDNによるクラウド基盤全体の運用の自動化には、さまざまな製品を組み合わせたエコシステムの構築が必要だ。当面は、自動化されたマルチテナント型のクラウド基盤を実現し、データセンターの事業者、研究機関を中心にソリューションを提供するが、来年は通信事業者、エンタープライズ向けにパブリッククラウドとプライベートクラウドの連携させるハイブリッドクラウドソリューションを提供していき、2016年にSDN市場の3割のシェア獲得を目指したい」と述べた。

自動化されたマルチテナント型のクラウド基盤

同社では、Big Network ControllerとBig Virtual Switchを年額1,240万円~、Big Network ControllerとBig Tapを年額450万円~提供する。