STMicroelectronicsは、高精度な計測が可能となる独自技術を採用した次世代バッテリ残量表示IC「STC3115」を発表した。

同製品は、多くの携帯機器に適用可能で、すでに一部のSamsung Electronics製スマートフォンに採用されているという。

残量表示機能は、バッテリ駆動の電子機器では残りの駆動時間を正確に知らせることで、ユーザーの利便性を向上させることがでいるため基本的な機能となっている。しかし、これまで市場に出回っている多くの残量メータでは、バッテリ寿命、充電効率の低下、システムの電力需要のバラつき、温度効果などから生じるエラーの影響を受けやすいという課題があった。

同製品では、残量のさらなる正確な測定に向けて、複数の高度な機能を搭載している。同社従来品では、バッテリに入出力される電力のクーロンを使用したモニタ、もしくはクーロンカウンタの精度を調整するための電圧モードで定期的に充電状態を測定しているほか、充放電状態を把握しバッテリモデルを適切な状態に補正するアルゴリズム「OptimGauge」が、両方の測定手法を選択しながら継続的に測定を行っていたが、同製品ではバッテリのOCV(開回路電圧)を最初に測定する際、充電ICの起動やシステム起動を制御し、正しい状態でバッテリのOCVを測定することを可能としたため、バッテリが接続された直後の測定精度が向上するほか、経年劣化と温度を補正する機能を内蔵したことにより、電圧測定精度0.25%を実現している。

また付加機能では、バッテリモニタの実行と同時に、動作電流を45μAに抑える低消費電力モードが用意されたほか、スタンバイモードでは2μAを実現している。さらにUVLO(Under-Voltage Lockout)フィルタは、短期的変動からバッテリ電圧を守り、不必要なシステムリセットが発生しないようにすることが可能なほか、バッテリ電圧から直接動作させることができるため、部材コストの節約が可能になるという。

なお、このほかの特徴は以下の通り。また、パッケージは1.4mm×2.0mmサイズのチップスケールパッケージを採用しており、価格は1000個購入時で0.95ドルとなっている。

  • 業界標準のI2Cでアプリケーションプロセッサと接続可
  • さまざまなバッテリプロファイルの設定が可能
  • 最大4.5Vまでのバッテリ電圧をモニタ
  • 低消費電力バッファ「TS941ILT」との組み合わせで、マルチセルパックの監視可
  • バッテリ挿入検出
  • アラーム専用出力により、バッテリ電圧がしきい値を下回った場合にアラームを出力

STのバッテリ残量表示IC「STC3115」