日立製作所と日立化成工業は、220-300℃で溶ける低融点ガラスの開発に成功したと発表した。金属や電子部品などの接着、接合に使われる「はんだ」の代わりとなるもので、ホットプレートや赤外線ランプ、レーザーなどのさまざまな光源を用いて加熱溶融ができるため、従来にないデバイス構造や製造プロセス技術の実現の可能性があるという。

両社は2009年12月に、環境負荷の大きなフッ素を含む鉛系の低融点ガラスや金を含んで高価な「金スズはんだ」の代替として、接着温度が350-400℃の「環境適合バナジウム系低融点ガラス」を開発した。今回はさらに、低融点化効果の高い銀イオンをガラス構造の網目骨格の中に導入することで、金スズはんだと同等の220-300℃で溶ける低温化を達成した。接着温度の制御は、銀イオンの導入量を調整することで可能だ。また、水分子と結合しやすいイオンを減らすことで、これまで以上に優れた耐湿性、耐水性も実現できた。

新開発の低融点ガラスの特長は、酸化物ガラス構造であるために、大気中、窒素中、真空中のいずれにおいても加熱、接着することができること。また、いろいろな光源による加熱が可能で、レーザーのビームを用いた場合には、耐熱性が低い有機素子や樹脂基板を搭載した電子デバイスに対しても、接着部分に置いた低融点ガラスのみを溶かし、他の部分のデバイスの熱劣化を防ぐことができるという。