2012年11月に米国ソルトレークシティー(Salt Lake City)で開催された「SC12」というスーパーコンピュータ(スパコン)最大の学会/展示会で、第40回のTop500リストが発表された。今年のTop10のスパコンを並べると、以下の表のようになる。
今回1位に輝いたのは、米国のオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory:ORNL)に設置されたTitanというスパコンである。ハードウェアはCrayのXK7スパコンであり、CPUとして16コアのOpteron 6274を使い、NVIDIAのK20Xをアクセラレータとして使うハイブリッドスパコンである。そして、Opteron 6274 とK20Xのペアからなる計算ノードを16,688ノード持ち、それらをCrayのGeminiインタコネクトで接続している。これら全体の総コア数は560,640コアで、そのうちのアクセラレータのコア数は161,632コアである。
Titanの倍精度浮動小数点演算のピーク性能は27.112PFlopsで、ピークの64.88%にあたる17.59PFlopsをLINPACKベンチマークで達成している。そして、消費電力は8.209MWで、効率としては2142.77MFlops/Wとなっている。
そして、前回1位のSequoiaと前回2位のK Computer(京)、前回3位のMiraが1つ順位を下げ、今回は2~4位となった。今回5位のJUQUEENは、前回は8位であったが、BlueGene/Q(BG/Q)の計算ノード数を3倍に増強して今回は5位にランクアップしている。3位のK Compterは富士通製であるが、2、4、5位の3つのスパコンはIBM製のBG/Qスパコンである。
6位のSuperMUCは前回4位からの2ランクダウンである。ドイツのライプニッツ スパコンセンターに設置されたSuperMUCはIBMのiDataPlexスパコンで、8コアのXeon E5-2680を18,432個使用し、計算ノード間はInfiniBandでつないでいる。
7位のStampedeは今回登場の新顔で、CPUとして8コアのXeon E5-2680を11,550個とアクセラレータとしてIntelのメニーコアコプロセサであるXeon Phiを180台あまり使用するハイブリッドスパコンである。
StampedeはXeon E5-2680 CPU2個とXeon Phi 1台を基本ノードとし、全体で6400ノードという計画であるが、現在は、CPUは12,800個の内の11,550個、Xeon Phiの台数は、まだ、1800台あまりしか設置されていない。まだ、建設途中であり、12,800個のCPUと6400台のXeon Phiが設置されフルシステムとなると、さらに性能を上げてくると考えられる。また、Stampedeの計算ノードには2台のXeon Phiを搭載するスペースがあり、一部のノードには2台搭載を考えている。このため、Stampedeの仕様では、Xeon Phiの台数は6400+と記載されている。
8位のTianhe-1Aは中国のスパコンで、2010年11月のTop500で1位となったシステムである。今回は、前回の5位から3ランクダウンである。このスパコンは、CPUは6コアのXeon X5670を使いアクセラレータとしてNVIDIAの2050 GPUを使うハイブリッドスパコンである。
そして、9位はイタリアのCINECA計算センターに設置されたIBM製のBG/Qスパコン、10位はIBMのPOWER775スパコンである。
6月の第39回のTop500では、CPUとアクセラレータとしてGPUを使うハイブリッドスパコンは53システム、そのうちのTop10では2システムであったが、5カ月後の今回のTop500ランキングではハイブリッドスパコンが58システム、そのうちのTop10では3システムに増加している。