島津製作所は11月20日、同社の超高速液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」を刷新し、新たなUHPLC(Ultra High Performance Liquid Chromatograph)として「Nexera X2」を発売したと発表した。
同製品は、食品分析や医薬品不純物分析などの分野における検出器の感度向上やピーク同定機能の強化ニーズに対応することを目的に、フォトダイオードアレイ検出の感度向上とスペクトル情報の高精度化を目指した新型フォトダイオード検出器「SPD-M30A」を搭載。これにより、世界最高クラスのスペクトル分解能を達成し、高精度なスペクトル解析およびピーク同定に対する精度向上を実現したという。
また、新開発の「i-PDeA機能」により、分析カラムで分離が不十分なピークであっても、各成分のスペクトルの差異を利用することで、単一の成分のピークを抽出することが可能となった。これにより未分離ピークの波形処理に悩む必要がなくなり、単一のピークとして定量することが可能となるため、目的成分ピーク内に未分離の不純物成分が含まれる場合でも、不純物ピークを容易に視覚化し、検出することが可能となる。加えて、スペクトルを用いた計算処理のみでピーク分離を行うことができるため、従来のように経験に基づいた分離パラメータ最適化検討を行う必要がなく、信頼性の高いピーク分離・定量結果を短時間で得ることができるようになるという。
さらに、SPD-M30Aは、全反射型キャピラリーフローセル「SR-Cell」の採用と、新型高輝度ランプおよび信号処理回路の最適化により、世界最高クラスの±0.2×10-5AU以下のノイズレベルを実現したという。このSR-Cellは、セル構造の最適化により、高感度を維持しながら優れたピーク形状を実現し、ピーク分離能を最大限に高めることが可能なため、極微量の不純物や多成分の分析における目的成分の検出限界の向上が可能になったという。このほか、光学系温調システム「TC-Optics(Temperature Controlled Optics)」も搭載し、SR-Cellのセル部の熱交換を最適化を施した結果、高い分離性能と高い感度を実現しつつも、装置立ち上げ直後の速やかなベースライン安定化が可能となり、分析開始までの待ち時間を短縮することが可能となったという。
なお、同製品は標準システム構成(ワークステーション込み)で930万円~、となっており、シリーズ全体で販売1年間で1100システムの販売を目指すとしている。