放射性セシウムに汚染された草木を焼却し、放射性セシウムを吸着・回収する実証試験プラントが、福島県双葉郡川内村に設置された。
実証試験プラントは、産業技術総合研究所のグリーンテクノロジー研究グループ(川本 徹 研究グループ長)と東電環境エンジニアリングが共同で開発、設置した。福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性セシウムによって汚染された草木類を焼却して量を大幅に少なくし、さらに焼却灰に含まれる放射性セシウムをプルシアンブルー・ナノ粒子吸着剤で吸収することができる。
福島第一原発事故では、住宅地周辺の草や木の葉、農林業で生じる樹皮、堆肥など植物系の放射性セシウム汚染物が大量に生じている。さらに今後、森林の除染を考えると、これから設置される予定の限られた中間貯蔵施設では、焼却して量を減らさない限り全てを収容するのは困難と見られている。
実証試験プラントは、これら植物系放射性セシウム汚染物数トンを試験的に焼却し、プルシアンブルー・ナノ粒子吸着剤で回収することで、汚染物の体積を千分の一に圧縮することを目指す。汚染物を燃やした時の熱を利用するバイオマス発電技術の獲得も期待されている。
植物系放射性セシウム汚染物を焼却した後の灰やフィルターで回収された飛灰をそのまま処分場に埋めた場合、水と接触して放射性セシウムが溶け出す心配がある。実証試験プラントは、焼却灰を水や酸などの抽出原液と混合し、放射性セシウムをプルシアンブルー・ナノ粒子吸着剤で回収する機能を持つ。
プルシアンブルーは、紺青(こんじょう)とも呼ばれる合成顔料として古くから使われている。ナノ粒子にすることで、本来持っているセシウムの吸着能力が、さらに高まることが分かっていた。
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