米国ソルトレイクシティにて開催されているスーパーコンピュータ分野最大の学会兼展示会「SC12」に併せて11月12日(米国時間)、スーパーコンピュータの処理能力ランキング「TOP500」の2012年11月版が発表された。
同ランキングは、独マンハイム大学のHans Meuer氏、米ローレンス・バークレー国立研究所のErich Strohmaier氏/Horst Simon氏、テネシー大学のJack Dongarra氏らがLINPACKのベンチマークを元に監修したもので、毎年6月と11月に発表されている。
今回の1位は前回(2012年6月)の米ローレンスリバモア国立研究所に設置されたIBMの「BlueGene/Q(BG/Q)」を157万2864コア用いた「Sequoia」(今回のLINPACKベンチマークは16.325PFlops)を1PFlop以上上回る17.590PFlopsを達成した米オークリッジ国立研究所(ORNL)の「Titan」が獲得し、米国勢が1位、2位と続いた。
Titanは、AMDの「Opteron 6274」(16コア/2.200GHz)とNVIDIAの「Tesla K20」を組み合わせたCrayのハイブリッドスーパーコンピュータ「Cray XK7」(18688ノード)を活用したシステムで、理論演算性能は27.113PFlopsとなっている。
3位には2011年6月版ならびに同11月版のTOP500で1位を獲得した日本の「京」が10.510PFlopsでランクイン。4位には、米アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)の「Mira」が8.162PFlopsで、5位には前回(2012年6月版)8位であった独Forschungszentrum Juelich(FZJ)の「JUQUEEN」が4.141PFlos(前回は1.380PFlops)でそれぞれランクイン。
6位以降は6位が独Leibniz Rechenzentrumの「SuperMUC」で2.897PFlops、7位が米テキサス大学の「Stampede」で2.660PFlops、8位が中国National Supercomputing Center in Tianjin(NSCC)の「Tianhe-1A(天河1A)」で2.566PFlops、9位がイタリアCINECAの「Fermi」で1.725PFlos、そして10位が米IBM Development Engineeringの「DARPA Trial Subset」で1.515PFlopsとなった。
10位までのシステムのうち、IBMのBlueGene/Qを採用しているのが2位の「Sequoia」、4位の「Mira」、5位の「JUQUEEN」、9位の「Fermi」の4システム。Intel Xeon単体もしくはNVIDIA GPUなどとのハイブリッド構成を、1位の「Titann」(Xeon+K20)、6位の「SuperMUC」(Xeon)、7位の「Stampede」(Xeon+Xeon Phi)、8位の「Tianhe-1A」(Xeon+NVIDIA 2050)の4システムが採用。そして、3位の「京」がSPARC64 VIIIfxを、10位の「DARPA Trial Subset」がPOWER7を採用したシステムとなっており、TOP500全体でIntelプロセッサが76%のシェアを占めるという結果となった。
また、TOP500システムのうち、62システムがアクセラレータ/コプロセッサを採用したシステム(前回は58システム)。また、マルチコアプロセッサを採用したシステムとしては、6コア以上のコアを搭載したシステムはTOP500の84.5%、8コア以上のシステムは同46.2%となっている。
一方、国・地域別でみると、米国が250でトップ、欧州が105、アジア・太平洋が127(そのうち中国が72、日本が32)となっている。なお、日本勢は、3位の京のほか、15位に国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)の「Helios」(1.237PFlops)(前回12位)、17位に東京工業大学(東工大)の「TSUBAME 2.0」(1.192PFlops)(前回14位)、21位に東京大学情報基盤センターの「Oakleaf-FX」(1.043PFlos)(前回18位)が1PFlops超えのシステムとしてランクインしている。