カルピスは、乳酸菌Lactobacillus helveticus(ラクトバチルス・ヘルベティカス)発酵乳の中から記憶力向上作用を持つペプチドを確認したと発表した。

同成果は同社の発酵応用研究所ならびに中部大学 応用生物学部の横越英彦 教授との共同研究によるもので、詳細は「第64回 日本生物工学会大会」にて(2012年10月23日-26日)で発表された。

同社は1970年代より、「カルピス」を製造する過程で生み出される発酵乳「カルピス酸乳」の機能性研究を続けてきており、現在は「カルピス酸乳」に含まれる乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベティカスで発酵させた発酵乳に着目して研究を進めており、これまでに寿命延長、抗腫瘍、免疫賦活、血圧降下、疲労回復、ストレス低減などの作用があることを明らかにしてきていた。

今回の研究では、発酵乳の中から、「記憶力向上」作用を示す成分を発見した。同成分を詳細に調べたところ、乳酸菌が牛乳に含まれる乳たんぱく質を分解することで得られるペプチドであることが明らかとなった。

主な試験結果は2つ。1つ目は発酵乳由来ペプチドの記憶障害予防作用で、発酵乳の中から発見したペプチドをマウスに与えた結果、有意に短期記憶障害を予防したという。2つ目は発酵乳由来ペプチドの記憶力向上作用で、発酵乳の中から発見したペプチドをマウスに与えた結果、有意に2日後の記憶保持が向上したという。

同社ではこれらの作用はヒトにも期待され、「もの忘れ」の予防や「脳機能の維持」に役立つ可能性があるとしており、今後も研究を継続し、関連するエビデンスを積み上げていく方針としている。

発酵乳由来ペプチドの記憶障害予防作用と発酵乳由来ペプチドの記憶力向上作用