ReadyDATAのファイルアクセス時のパフォーマンス

ReadyDATAを使うと、本当にパフォーマンスの問題を回避することができるのか。これを検証するために、実際にファイルアクセス時のパフォーマンスを計測してみた。

計測にあたっては、ReadyDATAのネットワーク接続の違いに注目した。ReadyDATAのネットワーク接続として、次の3パターンでファイルのリード/ライトのベンチマークを行っている。

  1. ReadyDATAを1Gbpsで接続
  2. ReadyDATAを2Gbpsで接続
  3. ReadyDATAを10Gbpsで接続

図3 検証時のネットワーク構成

ReadyDATAでは1TBのHDD6台でRAID5のボリュームを作成している。そして、PC1でReadyDATAの共有をネットワークドライブに割り当て、CrystalDiskMark 3.0.1でベンチマークを行った。なお、ベンチマークを行ったPC1はCPUがIntel Core i7-2640M、メモリが8GB、OSはWindows 7 Professional SP1 64ビットという構成だ。

以下は、1Gbpsで接続されているReadyDATAに対してPC1単体でベンチマークを行った結果である。

図4 単体でのアクセス時のReadyDATAベンチマーク結果

パフォーマンスの比較のために、筆者が自宅で運用している一般向けのNASであるIO-DATA RECBOX HVL-AV3.0のベンチマーク結果も載せておこう。こちらも1Gbpsで接続している。

図5 RECBOXのベンチマーク結果

エンタープライズ用途を謳うだけあり、一般向けのNASに比べるとファイルアクセスのパフォーマンスは非常に優れていることがわかる。特にファイルのライトが一般向けに比べるとかなり高い値となっている。

実際のオフィスでは複数のPCから同時にReadyDATAへのアクセスが発生するだろう。そこで、続いては複数のPCから同時アクセスを行うときにReadyDATAのネットワーク接続によってベンチマーク結果がどのように変わるかを見てみよう。

ネットワーク構成のPC2でReadyDATA上に置いた動画ファイル(平均ビットレート約30Mbps)を再生しながら、PC3とPC4でReadyDATA上の計50Gバイトのファイルをローカルにコピーしつつ、PC1でベンチマークを実行した。

複数のPCから同時アクセス時のパフォーマンス(1Gbps) ReadyDATAを1Gbpsで接続し、複数のPCからアクセスしているときに実行したPC1でのベンチマーク結果は、以下のようになった。

図6 複数のPCから同時アクセス時のパフォーマンス(1Gbps)

ベンチマーク結果を見ると、パフォーマンスが著しくて低下してしまった。ただし、これはReadyDATAの処理が追いつかなくなったからではない。ReadyDATAの1Gbpsのネットワークインタフェースがボトルネックとなっているのだ。

ベンチマーク実行中にReadyDATAの管理画面からネットワークスループットを見ると、vnic0での送信レートが約120Mバイト/秒で1000BASE-Tのインタフェースのおおよその上限で頭打ちになってしまっている。つまり、1Gbpsのネットワークインタフェースがボトルネックとなっていることがわかる。

図7 ベンチマーク実行時のReadyDATAのネットワークスループット

現在では、一般のPCでも当たり前のように1000BASE-Tのインタフェースを持ち、ギガビットイーサネット対応のスイッチもかなり安く導入できるようになっている。1Gbpsのクライアントがたくさんあるようなネットワークで、ReadyDATAを1Gbpsで接続しているとその性能を十分に発揮できずに非常にもったいないことになってしまう。