NHKは7月19日、地上デジタル放送波の混信を調査するISDB-T混信局探索装置を開発したと発表した。

同装置は、地上デジタル放送波の混信調査を効率良く行うために開発されたもの。気象条件などによって電波の異常伝搬が発生すると、受信したい放送波(希望波)に他の放送波が混信してしまう場合がある。これを解決するためには、混信波を送信している地上デジタル送信局(混信局)を特定する必要があるが、これまでは深夜時間帯に希望波を停波させて混信局の探索を行う必要があった。

今回開発した装置は、混信波抽出部と混信局推定部から構成され、希望波を停波させることなく混信波を抽出した上で、混信局を高精度に推定することができる。

混信波抽出部では、希望波のワンセグ部分のレプリカ信号を生成し、受信波からこのレプリカ信号を引き算することによって、希望波を停波させることなく混信波のワンセグ信号を抽出することができる。混信波の映像・音声を市販のワンセグ受信機で確認することも可能であり、混信調査の大幅な迅速化と効率化を実現した。

混信局推定部では、多数のビット誤りのあるネットワークIDを統計処理することによって、混信波の受信レベルが極めて低い状況などにおいても、混信波のネットワークIDを高精度に推定することができる。

NHKでは、完全デジタル移行後も、引き続きデジタル放送の良好な受信環境の維持・改善に向けた諸課題に取り組んでいく方針としている。

混信局探索装置

信号処理の流れ

仕様