富士ゼロックスは、医薬品開発の過程で薬事法上の承認を得るために病院で行われる治験業務を効率化するための文書管理ソリューションの提供を開始した。

同ソリューションは、治験業務で発生する書式、資料、台帳、証票などさまざまな文書を症例ごとに効率的に管理し、その進捗を視覚的に確認できる仕組みを提供するもの。電子や紙のさまざまな記録を適切に一元管理できる同社のソフトウェア「Apeos PEMaster」がベースとなっている。治験業務の文書管理全般を効率化することで、医師やスタッフの付帯業務軽減と本業への集中を促していくという。

治験文書管理ソリューション概念図

同ソリューションに治験実施計画に関する基本情報を登録すると、情報がQRコードで埋め込まれたフェイスシートが自動的に生成される。そのフェイスシートを利用して文書をファクスやスキャナーで読み込ませるだけで、それらの資料は所定のフォルダーに格納することができるため、治験の各プロセスで作成する計画書、結果報告などの文書や治験同意書、治験依頼書、治験安全情報報告書などのエビデンスを、簡易な操作でシステムに正しく登録し、閲覧することができる。

さらに、フェイスシート上のQRコードの情報や、手書きで記入された被験者コードや治験薬投与開始/終了などの日付情報なども、文書登録と同時にシステム上の台帳に自動登録され、登録した文書と紐づけされる。その台帳を確認することで、治験審査委員会(IRB)開催に向けて必要な文書やエビデンスが揃っているかどうかなど、業務全体の進捗や文書の抜け漏れを確認することができる。

利用イメージ

同ソリューションは、複数の病院が連携して治験業務を実施する治験ネットワークにも対応。中央事務局への窓口機能一元化、書類や手続きの統一化、複数の病院間での情報共有、症例ごとや施設ごとでの進捗管理など、ニーズに合わせて、ネットワーク構築や文書管理システムの構築を行い、治験業務を効率的に遂行できるよう支援する。

具体的な導入事例として、小児医薬に特化した治験を行う「小児治験ネットワーク」で採用され6月から稼働しており、中央事務局を中心に治験文書管理の仕組みが整いつつあるという。

今後、同ソリューションについて、同社は治験を行う病院や、複数の病院が連携して治験を実施する治験ネットワーク向けに提案していくという。