文具・紙製品に関する展示会としてはアジア最大級を誇る「第23回 国際文具・紙製品展(ISOT)」。各メーカーの新作アイテムや日本未発表の製品などがいち早く登場するバイヤー向け展示会であるこのイベントで、1年間に発表された文具の中から優れたものを選出する「日本文具大賞」の受賞作品が展示された。

会場の一角に、「日本文具大賞」にノミネートされた文具たちが集結。多くの人が見入っていた

今回、21回目を迎えた日本文具大賞では、「デザイン部門」と「機能部門」で各5製品が選定され、さらに会期初日には、各部門におけるグランプリが決定・発表された。文具業界のみならず、一般からの注目も年々高まっている同アワードにて受賞を果たした、優れた文具を紹介していこう。

"懐の深い"手帳がグランプリに輝いた「デザイン部門」

デザイン部門で栄光のグランプリを獲得したのは、マークスの1日1ページ手帳「デイリー・プランナー "EDIT"」。ユーザー自身が「編集(EDIT)」できる、自由度の高いレイアウトが特徴のダイアリーだ。また、素材・カラーなどで全60種類という豊富なラインナップを展開するなど、カバーデザインにもこだわりを見せている。内面・外面ともに、あらゆる個性に対応できる"懐の深い"デザインが評価される結果となった。

マークス「デイリー・プランナー "EDIT"」。手帳の使い勝手を決定するレイアウトはもちろん、カバーデザインにもこだわりが

マークスのブースには、同シリーズの豊富なラインナップが展示されていた

惜しくもグランプリを逃したものの、注目を集めていたのはデザインフィルの動物型クリップ「インデックスクリップ」。クリップ本体はファイバー紙という丈夫な紙でできており、焼却処分も可能だという"エコ"な製品。デザインフィルの広報担当に聞いたところ、オフィスなどでも使いやすいように、落ち着いたデザインとカラーを採用したのだという。

デザインフィルの「インデックスクリップ」。書類を留めたり、手帳のインデックスとして使用可能

同社ブースでは、ほかにも魅力的な製品がずらりと並んでいた

素材と伝統を活かした秋の紙製品シリーズ(8月発売予定)

ラッピングにも使える「オリガミオリガミ」(9月発売予定)

蝶がとまっているように見える「付せん紙 3D」(9月発売予定)

このほか、デザイン部門で入賞を果たしたのは、粘着シートを内側に装着した名刺ホルダー「harrytoree」、用途別のドットパターンを揃えたノートパッド「On the dot PADシリーズ」、リールをなくしてコンパクト化したテープディスペンサー「eN テープディスペンサー」。いずれも優れたデザインとアイデアによって創り出されたユニークな製品だ

日吉パッキング製作所「harrytoree」

マルアイ「On the dot PADシリーズ」

ミニマライフ「eN テープディスペンサー」

アナログ文具が健闘した「機能部門」

同大賞のもうひとつの柱、「機能部門」でグランプリを受賞したのは、アピカが発売している「Premium C.D. NOTEBOOK」。書き心地を追求し、表紙素材、本文用紙、製本方法にこだわったという、大人のためのノート。「紳士なノート」という商品コンセプトのとおり、上品で高級感ある表紙デザインが魅力的だ。

機能部門のグランプリを受賞した、アピカの「Premium C.D. NOTEBOOK」

このほか機能部門の入賞作品には、スマートフォンやPCと連携可能なメモプリンタ「メモプリ MEP-B10」、収納ポケット付きで予備の用紙を持ち歩けるジョッター「ASHFORD A4ジョッタ&ペーパーホルダー パンチングレザー」、長期放置によるインク詰まりを防ぐ万年筆「#3776センチュリー PNB-10000 #71ブルゴーニュ」、携帯に便利なペン型ハサミ「ペンカットミニ」の4製品が選ばれた。

カシオ計算機「メモプリ MEP-B10」

シーズンゲーム「ASHFORD A4ジョッタ&ペーパーホルダー パンチングレザー」

プラチナ万年筆「#3776センチュリー PNB-10000 #71ブルゴーニュ」

レイメイ藤井「ペンカットミニ」

使う人の自由度を残したデザインが高評価

今回の文具大賞では、デザイン・機能の両部門において、シンプルなデザインを採用した作品が多く見られた。文具の活用法を心得た"文具リテラシー"の高いユーザーが多い昨今、利用者自身がカスタマイズできるような、自由度の高いデザインが求められているのかもしれない。