NTT アクセスサービスシステム研究所は7月4日、光通信に用いる世界最高クラスの密度を実現した屋外配線用多心光ファイバケーブルを開発したと発表した。

光ファイバケーブルは、基本的な伝送特性や機械特性を確保することに加え、細径・軽量化が求められている。特に、屋外配線用の光ファイバケーブルは、数百m以上の距離にわたって敷設することがあり、軽量化すると敷設時の牽引力を小さくでき、少人数での敷設が可能になるなど、建設作業を効率化が図れる。また、細径化は、光ケーブルを敷設するスペースを有効に使える他、管路などを新たに増設する工事を回避できるなど、経済的かつ迅速な光ファイバケーブルの敷設工事を実現する。

今回、開発した光ファイバケーブルは、電柱間および引上管路区間に適用することを目的に、24心~200心の光ファイバが実装されており、従来のスロット型光ファイバケーブルと比べて最大約30%の細径化と約60%の軽量化を実現した。これにより、光通信網の効率的な構築が実現する。

図1 今回の光ファイバケーブルの適用領域

図2 光ファイバ実装密度を極限まで高めた世界最高密度の光ケーブル

ガラス材料である光ファイバケーブルは、引張りなどのひずみによる破断および外力が加わることによる光損失の発生が課題だった。このため、従来の光ケーブルは、スロットロッドや緩衝材によって光ファイバを外力から保護するように設計されていた。

光ファイバケーブルを極限まで細く軽くするためには、光ファイバのみを可能な限り高密度に集合する必要がある。しかし、光ファイバに加わる微小な曲げなどによる光損失を抑制することも重要であり、今回、低曲げ損失光ファイバを新たに採用することで、安定した伝送特性を実現した。

また、多心光ファイバケーブルを用いて光通信網を構築する場合、光ファイバ接続作業の効率化のため、複数の光ファイバを一括して接続する技術が不可欠となる。これまで、複数の光ファイバを並列させ一括被覆を施した光ファイバテープが国内外で広く用いられていた。しかし、従来の光ファイバテープは、構造上柔軟に変形しにくいため、高密度に収納した場合、光ファイバに大きなひずみが加わり、破断や光損失に繋がることが多かった。

同製品では、間欠接着型光ファイバテープを採用し、外径0.25mmの低曲げ損失光ファイバ心線4本を並列させて高密度に実装した。間欠接着型光ファイバテープは、高密度実装時に光ファイバケーブル内で柔軟に変形できるため、ひずみを抑制することが可能で、従来の光ファイバテープと同様に一括接続できる。

図3 高密度実装と一括接続が可能な間欠接着型光ファイバテープ

今後は光ファイバ心線数や他の適用領域に応じた構造の光ファイバケーブルについて検討を進めていく考え。