エプソンは5月22日、屋内/屋外看板、店頭ディスプレイなどのサイン&ディスプレイ向けの64インチ大判プリンタ、SureColor「SC-S30650」、SureColor「SC-S50650」、SureColor「SC-S70650」の3機種を5月29日より順次発売すると発表した。

同社はこれまで写真画質の強みを活かし、写真やポスターなどのグラフィックス分野に注力してきたが、今回の3機種でサイン&ディスプレイ市場に本格参入する。

「SC-S30650」

「SC-S50650」

「SC-S70650」

サイン市場の主な用途

また、2012年の上期中にCAD市場向けの大判プリンタも発表する予定で、大判プリンタ市場のシェア拡大を狙う。

発表会で参考出品されたCAD市場向けの大判プリンタ

エプソンの大判プリンタの販売方針。サイン/CAD市場へも拡大

同社では、今回の3製品を2012年度に500台販売し、国内のサイン&ディスプレイ市場の約25%のシェアを獲得したいとしている。

販売目標

なお、同社では2012年投入モデルより大判プリンタのブランド名を一新し、従来、国内が「MAXART」、海外が「Stylus Pro」で展開していたブランド名を、産業用印刷機は「SurePress」、大判プリンタは「SureColor」、インクジェットミニラボは「SureLab」とし、世界共通ブランドとして展開する。

新ブランド

今回の3機種は、屋外でも、変色や劣化等の変質を起こしにくい耐候性があり、溶剤特有の臭いを低減し、発がん性のあるニッケル化合物を一切含まない、 溶剤系インク「エコソルベン ト GS インク」を採用する。今回、新開発の「UltraChromeGS2/GSX インク」により、高速印刷時の色ムラを抑制し、屋外耐候性もラミネートなしで最大3年を実現する。

「SC-S30650」は、4色搭載のスタンダードモデルで、最大29.4平方メートル/hの印刷が可能。「SC-S50650」は、4色に加えて電飾やウィンドフィルムなどの用途にも必須となるホワイトインクの搭載を可能とし、最大51.8平方メートル/hの印刷が可能なハイスピードモデル。そして、「SC-S70650」は、特色ニーズにも対応した高画質を実現する8色インクに加えて、メタリックとホワイトインクを搭載可能で、最大26.8平方メートル/hの印刷が可能な高画質モデル。 いずれも、300~1,625mm幅のロール紙に対応する。

価格は、「SC-S30650」が178万円(税別)、「SC-S50650」が298万円(税別)、「SC-S70650」が248万円(税別)。

また、従来比2倍となる360dpiの高密度ノズルを各色2列(計720ノズル、SC-S50650は各色4色の計1,440ノズル)使用した「高密度 MicroPiezoTFヘッド」を搭載するとともに、これまでネジだったパーツの接続を、700箇所以上のレーザスポット溶接よる高剛性のフレーム構造に変更し、機体振動を抑制している。

高密度 MicroPiezoTFヘッド

高剛性のフレーム構造

そのほか、ロール紙セットの負担を軽減する「用紙ジャッキアップレバー」や印刷後の乾燥速度を向上した「大型アフターヒーター」などにより、印刷工程の高速化を実現している。

大型アフターヒーター搭載の3ヒーターシステム

用紙ジャッキアップレバー

エプソン販売 代表取締役社長 平野精一氏

エプソン販売代表取締役社長 平野精一氏は、「マイクロピエゾ技術であらゆる領域のプリンティングを革新するというのが、エプソンの中期経営計画の1つだ。現在、売上高が1兆円を割り込んでいるが、プリンタの事業領域を拡大し、2014年度には売上高1兆円を達成したい。そのDriving Force(推進力)となるのが、マイクロピエゾ技術だ」ど述べた。

なお、マイクロピエゾ技術は、ペエゾ素子が電圧を加えると収縮するという特性を活かし、振動プレートを動かし、機械的にインクを飛ばすエプソンが独自に開発したインクジェット技術。熱を利用しないという特徴がある。この技術はコンパクトプリンタから、大きな産業用プリンタまで、同社のインクジェットプリンタすべてに搭載されている。

マイクロピエゾ技術の特徴