自然界に少ない単糖をでんぷんから生成

松谷化学工業は5月10日、天然系機能性甘味料「希少糖(レアシュガー)」の一種であり、ノンカロリーながら甘味が砂糖の7割程度である「D-プシコース」などの成分を含む異性化糖である希少糖含有シロップ「レアシュガースウィート(Rare Suger Sweet:RSS)」を2012年6月1日より全国の法人に向けて発売することを発表したが、同日、その発表に合わせて、希少糖の効能などの研究調査結果の説明会を実施した。

RSSはでんぷんから作られる異性化糖をさらに異性化した製品で、希少糖であるD-プシコースとD-アロースの2種類を約15%含有している。希少糖とは、自然界に微量しか存在しない希少な単糖およびその誘導体の総称と定義されており、現在、キシリトールをはじめとして自然界に50種類以上存在していることが確認されている。

希少糖の概要

これまでも同社は香川大学と共同研究を進めてきており、各種の学会にてその研究成果を発表してきた経緯もあるが、今回の説明会はこれまでのそれらの成果などをまとめたものとなっていた。

抗肥満効果や動脈硬化の抑制効果を持つ希少糖「D-プシコース」

D-プシコースの確認された主な機能としては、「糖代謝」と「脂質代謝」の2つ、糖代謝では、食後の血糖値およびインスリンの上昇を抑制できることが確認されたほか、脂質代謝では抗肥満効果や動脈硬化抑制効果が確認された。また、最近ではD-プシコースを摂取することでランゲルハンス島のβ細胞を保護できるという研究成果も報告されている。

実際のヒトに対する長期試験の結果としては、1日合計15gを4週間/12週間摂取し続けた場合と非摂取の場合ではTNF-αおよびアディポネクチンの上昇が認められた。また、肥満の原因の1つと言われる異性化糖に5%濃度のD-プシコースを加えたもので、内臓脂肪の低減効果が確認されたという。

動物実験にて確認された異性化糖室に対するD-プシコースの抗肥満作用。D-プシコースの甘味度は砂糖の7割でエネルギーゼロ、非う蝕性/抗う蝕性という特長を持ちさまざな食品の中にも微量だが含まれてもいる

こうした研究からD-プシコースには上述した複数の機能が確認されたわけだが、体内でどういった作用が起きているかというと、おおざっぱに言うとD-プシコースを摂取すると、まずは小腸での糖の吸収抑制が働き、続いて肝臓での脂肪生成抑制が起き、これが内蔵の脂肪蓄積の防止へとつながるほか、HDL受容体が活性化し、HDL/LDL比の改善が促されることによって効果を得られるという。

活性酸素の発生を抑制する希少糖「D-アロース」

一方のD-アロースだが、現在食品としての安全検査を受けているが、自社検査では問題ないものという結果を得ているという。また、得られる機能については同じ希少糖ながらD-プシコースと異なり、細胞の活性酸素の発生を抑制することが可能になることが確認されているという。

活性酸素は、さまざまなストレスを受けると細胞内のミトコンドリアなどが作用して発生する物質で、いろいろと生体に悪影響(例えばがんや梗塞、DNA異常など)が、生じることが知られている。これをD-アロースを摂取することで発生を抑制することができるようになる。実験では脳梗塞/心筋梗塞への抑制作用の研究として、中大脳動脈の60分間閉塞による大脳の壊死を、D-アロース(400mg/kg)を摂取させることで抑制できることが確認された。

また、詳しく調査した結果「収縮期血圧・拡張期血圧の上昇抑制」「臓器虚血障害保護作用」「細胞増殖抑制」の3つの機能があることが判明した。3番目の細胞増殖効果抑制だが、例えば骨粗鬆症という病気は破骨細胞と骨芽細胞が均衡を保つことで維持されていた骨の状態が、破骨細胞が有利になることで引き起こされる。破骨細胞にD-アロースを適用できれば、骨粗鬆症の予防も可能になる可能性があるという。

D-アロースの機能は活性酸素の発生を調節すること。この機能により、さらに「収縮期血圧・拡張期血圧の上昇抑制」「臓器虚血障害保護作用」「細胞増殖抑制」といった効果が確認された

これらの結果で得られる内臓脂肪の低減と活性酵素の抑制により、寿命の延長が期待できるようになる。カロリーの高いものはたいていおいしいが、高カロリーを摂取し続けると、カロリーをコントロールしてきた場合に比べて見た目も劣化するほか、平均寿命にも差が生じることがサルを用いた長期間実施した研究成果により示されている。