ポータル(Potal)の進化

今後のUXPの進化を想像してみると、ポータルの進化過程を思い出す。

そもそもポータルは「正門」や「入口」という意味を持っており、一般的にはユーザーがインターネットを利用する際に最初に見るサイトとして設計されていることが多い。実際にほとんどのユーザーのホームサイトには著名なポータルサイトが登録されている。

ポータルの成長初期段階では各種情報を単純に集めて提供する形態だったが、次第にメールや検索などのサービスが追加され、多様な単位サービスを含むものに進化している。現在、ポータルサイトが強力な影響力を持つことになったのは、多様に散らばっている情報をユーザーの嗜好に合わせて集めただけではなく、付加価値として新しいサービスを提供し、インターネットをより便利に使うことができるようなサービスに進化したからである。

このような進化したポータル環境に慣れたユーザーは、個別サービスを利用するよりポータルの範疇内でサービスを利用することになる。この傾向はASPからクラウドへ進化を遂げようとしているWebサービスからも読み取れる。UXもUXPとして様々なUXを提供できる総合プラットフォームへ進化するのは間違いないことである。

一方、企業では少し事情が異なる。企業内に分散したDB,ERP,CRM,SCMなどに格納されている情報やアプリケーションを1つの画面で操作・処理するシステムでEP(Enterprise Portal)が求めらることになる。

ただ単に1つの画面で情報やアプリケーションを提供するだけならば、EPでなくても十分に実現することができる。EPの究極の導入目的は、アプリケーション プラットホームとして機能させ、新しいアプリケーションに対する費用を節減して企業で必要とするアプリケーションをより速かに提供するということだ。このような概念は理解しやすいが、実際これを導入して業務アプリケーション上で実現するとなると簡単ではない。

このような課題については、ウィジェット形式の柔軟なアプリケーションをポータルに適用することで対応できる。ユーザーの業務にあわせて適切なウィジェットを導入することで、ポータルの活用度を高めることができる。

最近のWebアプリケーションでは、内部コンテンツと同じくらいウィジェット形式のモジュールの使用を重要視している。代表的なところではソーシャル コメントというシステムがある。韓国内法との問題もあったりするが、自動的に外部のリソースと内部コンテンツを連係することが可能で、最近では企業内アプリケーションにも外部サービスを連動させたり、ウィジェットやAPIで内部サービスを活用してりできるようにする事例が増えている。

また、マルチ デバイス対応についても、様々な大きさのデバイスに対して少ない費用で拡張できる構造を作ることができる。 ただシステムがいくら進化しても、あらかじめ設定していなかった部分には自動的に対応してくれない。現在はある程度の水準でテンプレート化して提供することができるが、完ぺきな変換はできない。今後作られるアプリケーションはそれぞれのコンポーネントに設計者の意図が反映されてこれを多様な環境に合うように変換できるように提供されるはずだ。

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以上、今回はUXの定義に触れた後、UXPという新しい概念を紹介した。次回は、UXアーキテクトという職能を説明したうえで、UXにまつわるエピソードや企業におけるUXP構築のポイントなどを解説する予定だ。