トムソン・ロイターは4月17日、2011年版の「論文の引用動向による日本の研究機関ランキング」を発表した。これは世界的な学術論文の刊行数やその引用数データに基づき、科学研究業績に関する統計情報と動向データを編纂した同社独自のデータベース「Essential Science Indicators」に収録されている世界の研究機関情報から、日本のデータを抽出・再集計し、論文の総被引用数順に並べたもの。対象期間は2001年1月1日~2011年12月31日の11年間。
2011年版のランキングでは、東京大学が前年に続き国内総合1位を維持しつつも、世界順位は16位と昨年の13位(2009年版では11位)から後退した。また、全体的に、日本以外の国での論文数・被引用数の上昇があり、世界順位では多少下がる傾向が見られた結果となっている。
国内順位では、2010年版とほぼ同様の順位となった。また、日本のお家芸と言われる材料科学、物理学、化学などは、前回以前と変わらず世界での影響力の強さを示したほか、生物学・生化学、免疫学分野では、トップ10のうち半数以上の日本の研究機関が世界順位を堅持もしくは上昇を果たす結果となった。
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国内研究機関の分野別ランキング(物理学)。前年5位の東工大と同6位の科学技術振興機構が入れ替わったほか、同7位の高エネルギー加速器研究機構と8位の産業技術総合研究所も入れ替わった。世界順位は上位の東大が2位→3位、東北大が10→12位、阪大が22→24位とそれぞれ順位を落としている |
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国内研究機関の分野別ランキング(生物学・生化学)。前年4位の科学技術振興機構と3位の阪大が入れ替わった以外に動きは見られない。世界順位については、国内トップの東大は3→3位と順位を維持したものの、2位京大が23→24、4位阪大が28→31位、5位理研が42→48位とそれぞれ順位を落としている |
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国内研究機関の分野別ランキング(免疫学)。ランキング上位は前回から変動はなく、9位の国立感染症研究所と10位だった東京医科歯科大学が入れ替わった程度。世界順位も国内上位にほぼ動きはなく、唯一、理化学研究所が前年の61位から44位へと大きくランクアップしている |
なお、これらの分野別ランキングは、同データベースで定義されている22分野のうち、世界のトップ5位以内に日本の機関がエントリしていた分野について集計を行い、それぞれのトップ10をまとめたものとなっている。これにより、分野別では2010年版と比べ「薬理学・毒物学」が外れ、「材料科学」、「物理学」、「化学」、「生物学・生化学」、「免疫学」の5分野のランキングが公表されることとなった。