TANAKAホールディングスは、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業が、殺菌や消臭などの用途で幅広く使われているオゾン水を、従来技術より40倍高い効率で生成できる白金系電極の開発に成功したことを発表した。
同電極は、チタンと白金を合金化させて新規の触媒層を構築した白金系電極で、1cm2あたり0.1Aの電流条件で30分間、水を電気分解すると、3.6ppmのオゾンを生成することが可能だ。従来の白金電極では、同条件下で生成できるオゾン水は0.09ppmであるため、生成効率が低いという問題があったが、今回、酸素過電圧が高いが寿命が短いチタンと、寿命が長いが酸素過電圧が低い白金を最適な条件で合金化することで、両者の長所を併せ持った新規の電極触媒を構築することに成功し、従来比40倍の生成効率を実現したという。
現在、電解によるオゾン生成方式(電解法)を採用している殺菌水や洗浄水といった用途では、同電極に代替することで消費電力を抑えられるようになるため、ランニングコストを従来の10分の1以下に抑えることが可能となる。
また、排水処理や半導体洗浄といった用途では、要求事項に応じて、電解法のほかに放電方式や光化学反応方式といった様々な生成方法が用いられているが、同電極を用いることで、さまざまなオゾン生成方式を実用レベルで代替することが期待できるという。
陽極として使用した場合、水の電解によって生成される酸素の生成電位を高電位化(高酸素過電圧化)することができる電極で、通常の電極では起こりにくい酸素生成反応と競合する陽極反応を高効率で起こすことができるという。
なお、同社では今後も、同電極の長寿命化や品質安定化などの技術改良を進めながら、当面のサンプル提供を進め、2013年中に量産化することを目指すとしている。