矢野経済研究所は3月27日、国内のスマートフォンアプリ市場の調査結果を発表した。同調査は、国内のスマートフォン/タブレットPCアプリ関連ディベロッパー、パブリッシャーなどに対して、同社専門研究員による直接面談/電話/電子メールによるヒアリング・文献調査を併用して実施されたもの。
同調査によると、国内のスマートフォン/タブレットPC市場は急成長しており、特にスマートフォンは、フィーチャーフォンを代替する形で急速に普及し、今後もその傾向は継続するという。
デバイスの普及に伴い、アプリ市場も成長している。有料アプリ市場はiOS系(iPhone, iPod touchなど)が特に成長しており、「初期ダウンロード時無料+アプリ内課金」のモデルを採用するアプリが急増し、有料アプリ販売におけるトレンドになりつつある。Android系はアプリマーケットとしては巨大だが、アプリへの課金機能の実装コストがiOS系と比較して高いことなどが一因になり、現状は無料アプリ市場のほうが盛り上がっているという。
「デバイスの普及、通信インフラの整備、アプリ内課金モデルの普及などが好材料となり、有料アプリ市場も成長基調が続き、購入単価はやや上昇傾向にはあるが、急激に上がる要素は少ないため、現状からほぼ変わらない傾向で推移する」と同社では見ている。
スマートフォンアプリ市場の市場規模は、2011年は82.2億円となり、今後は、2012年が139.9億円(前年比170%)、2013年が205.8億円(前年比147%)と急成長を続け、2016年には441.7億円の規模になると予測される。
日本と中国のスマートフォンユーザーに、アプリを購入する際に参考にする情報(複数回答)を聞いたところ、日本では「アプリストアのレビュー(65.3%)」が最も多く、次いで「アプリストアのランキング(57.0%)」という結果となった。一方、「クチコミ(リアルの知人から)(21.0%)」「アプリ開発会社(ディベロッパー)のwebサイト(8.3%)」などは少数にとどまっている。
中国では「クチコミ(リアルの知人から)(77.0%)」が最も多く、次いで「アプリストアのランキング(51.0%)」「クチコミ(SNS)(47.0%)」となっている。
日本のユーザーはレビューやランキングなど「不特定多数による評価や客観情報」を、中国のユーザーは「身近な知人による評価・評判」を重視する傾向が見られる。日本ではアプリ入手時の情報としてアプリストア経由によるものが重視される傾向が強く、同社では「ソーシャルメディアやSNS、外部web メディアの影響力よりも現状は大きいことが示唆されている」としている。