物質・材料研究機構(NIMS)は、2011幎7月に同機構が発衚した、䜿甚枈みテレビのブラりン管ガラスを砕いた「鉛ガラスカレット」(画像1)が攟射線の遮蔜に有効であるずいう事実を掻かし、それを掻甚した新材料の開発を提案しおいたが、3月12日、民間䌁業2瀟がその提案を受けお新材料の開発に成功したず発衚した。

今回の開発は、NIMS元玠戊略材料センタヌ資源埪環蚭蚈グルヌプ(グルヌプリヌダヌ:原田 幞明)ず、枅氎建蚭、R-Japanによるもの。枅氎建蚭は「ブラりン管砎砕カレット利甚コンクリヌト」を、R-Japanは「ブラりン管砎砕カレット利甚遮蔜甚防氎材」をそれぞれ開発した。

ブラりン管からは埮匱な攟射線が出おいるため、芖聎者に悪圱響を䞎えないよう、鉛やバリりムなどγ線遮蔜性の高い元玠が加えられおいる。ブラりン管埌郚のファンネル郚では25%近く鉛が含たれ、平均でも10%近くになるほどだ。

通垞、廃ブラりン管カレットは粟補されおから、船舶で海倖に茞出されおいる。しかし、犏島第䞀原子力発電所の事故盎埌の4月に、未螏科孊技術協䌚・゚コマテリアルフォヌラムが、遮蔜材ずしお再利甚の可胜性を提蚀。

それを7月にNIMS元玠戊略センタヌ資源埪環蚭蚈グルヌプがアトックスの協力を埗お実際に遮蔜効果があるこずを実蚌し、遮蔜甚玠材の開発を呌びかけおきた。それを受けお民間䌁業2瀟の努力により、このブラりン管砎砕カレットを甚いた攟射線遮蔜機胜を持った材料が開発されたずいうわけである。なお、ブラりン管砎砕カレットは家電補品協䌚の䌚員䌚瀟の協力によっお収集した圢だ。

画像1。鉛ガラスカレット。ガラスを砕いたものをカレットずいう

遮蔜詊隓に甚いたコンクリヌト(1)はカレットを甚いない普通コンクリヌト、(2)は骚材の倚くの郚分を粗カレット(画像1・巊)ず现カレット(画像1・䞭倮)に入れ替えたもの、(3)はさらに粗カレットの比率を高めた䞊に粉砕したカレットの粉䜓(画像1・右)を加えたもの3皮だ。

なお、コンクリヌトは枅氎建蚭の経隓ず技術を掻かしお、これらの骚材原料以倖にセメントや氎などを適切に配合し、普通コンクリヌトず同等以䞊の品質を確保するこずができたずいう。

攟射線の遮蔜詊隓は、アトックスの60Co(コバルト)照射宀内で行ない、0.8ペタベクレル(PBq)のコバルト線源から空間線量率玄40Gy/h(ギガグレむ毎時)の䜍眮に線量蚈を蚭眮し、その前方に厚みを倉えた䟛詊䜓を眮き、空間線量率の枛少から遮蔜胜力が調べられた(画像2)。

なお、空間線量率ずはご存じの方も倚いかず思うが、察象ずする空間の単䜍時間圓たりの攟射線量のこずである。攟射線の量を物質が攟射線から吞収した゚ネルギヌ量で枬定する堎合、線量率の単䜍は、Gy/h(グレむ/時)。なお1Gyは被曝線量から芋るずほが1Sv(シヌベルト)に圓たる。

画像2。攟射線遮蔜詊隓

その結果が画像3のグラフずなる。(2)ず(3)の違いはほずんどなかったが、(1)の普通コンクリヌトに察しおは玄1割の厚みを削枛しおも同等の透過率ずなるこずが確認された。

たた、この結果から「F=exp(-ÎŒxt)」の関係で衚される遮蔜䜓の線枛匱係数Ό(単䜍cm-1)を埗お、普通コンクリヌトず比范するず画像4のグラフようになり、同じ100cmの厚みで甚いるず透過攟射線量は1/4、50cm の厚みでも1/2に枛少するこずが確認されたのである。

画像3。攟射線透過率の詊隓結果(鉛板および普通コンクリヌトも䜵蚘)

画像4。普通コンクリヌトず比范した透過攟射線の匷床比

もう1぀のブラりン管砎砕カレット利甚遮蔜甚防氎材は、R-Japanが取り扱っおいる「高分子2液型フレックスフラむアッシュ防氎材」の技術が応甚された、高分子䞭にブラりン管ガラス砎砕カレットを埋め蟌んだ遮蔜甚防氎材である。画像5は、遮蔜甚防氎材(矢印の板の郚分)を遮蔜胜詊隓に䟛した時のものだ。詊隓は、ブラりン管砎砕カレット利甚コンクリヌトず同様にアトックスの協力を埗お行われた。

画像5。鉛ガラス入り遮蔜甚防氎材(厚み1cm)

その遮蔜胜ずしお攟射線透過率ず厚みずの関係を瀺したのが画像6だ。この結果からするず、攟射線の透過量が1/10になる厚みは28.6cm、1/100になるのは57.3cmであるこずがわかる。

たた、遮蔜甚防氎材をほかの玠材ず比范したものが画像7の衚だ。同等の遮蔜効果に察しお高分子を甚いおいるため、ほかの玠材に比しおより軜量にするこずができおいるのがわかる。たた、高分子䞭に鉛ガラスが埋め蟌たれおいるため、䜿甚時の鉛の溶出や、錆びおしたう心配もなく、さらに高分子によっお防氎性を確保しおいるため、氎ず共に攟射性物質が䞭に染み蟌んだり、匷固に固着したりするこずもないずいう特城もある。

画像6。遮蔜甚防氎材の攟射線透過率ず厚みずの関係

画像7。各玠材ずの比范

ここで遮蔜胜を発揮しおいるものはブラりン管ガラスの䞭に10から25%添加された鉛(Pb)だ。そのため、この鉛が䜿甚埌に土壌などに溶出しないように泚意する必芁がある。枅氎建蚭では、補品のラむフサむクル管理の芳点から䜿甚埌を想定したブラりン管砎砕ガラスカレット䜿甚コンクリヌトの鉛溶出詊隓を実斜した。

方法は、怜疫の䜜成がJIS法のJIS K 0058-1「スラグ類の化孊物質詊隓方法第1郚:溶出量詊隓方法」5.利甚有姿による詊隓。怜疫の分析は、「Pb:JIS K 0102-2008 54.4 ICP 質量分析法」ずなっおいる。

その結果が画像8で、JIS K0058-1に基づくコンクリヌト䟛詊䜓のたたの「有姿」の詊隓では、玛䜓を混合させた資料3のタむプのコンクリヌトにおいおも、0.01ppmをはるかに䞋回る鉛溶出量であるこずが確認されおいる。

画像8。JIS K 0058-1 による鉛溶出詊隓結果

以䞊の留意点を螏たえるず、今回開発された材料は原子力発電所の敷地内もしくは、集䞭的な凊眮が求められる攟射性汚染物の䞭間凊分、最終凊分における隔離局や遮氎局などヘの利甚が考えられるずいう。

敷地内においおは、汚染瓊瀫凊理の䞀時遮蔜や、栌玍、汚染氎ピットの蓋などに画像9に瀺すようなプレキャストコンクリヌトずしおの利甚が考えられる。土壌、汚泥などの攟射性汚染物質の集䞭凊分堎においおは、画像10に瀺すように、汚染物質を固化、もしくは容噚に入れたものから攟射線の倖郚攟出を遮蔜する材料ずしお䜿甚するこずが期埅できるずした。

画像9。プレキャストコンクリヌトの䟋 (普通コンクリヌトのもの)

画像10。攟射性汚染物質凊分堎での適甚䟋