米Appleはこのほど、2012年版「Supplier Responsibility Progress Report」を発表した。自社が取引するサプライヤーへの責任として労働条件や環境への影響を報告する年次レポートとなり、今年は初めてサプライヤーリストも公開された。

同レポートは、Apple製品が製造される過程で取引するサプライヤーで働くスタッフの労働環境などについてまとめたもの。Appleはすべてのサプライヤーに対し、安全な労働環境の整備や労働者の人権擁護などを求めており、サプライヤーへの責任の一環としてレポートを作成している。レポートではまた、環境保護の立場から危険物の取り扱いや排出管理などの状況についても報告している。

2011年、Appleは合計229の施設で監査を行ったという。これは、前年と比べ80%多い数となり、100回以上が初回の監査を受けた形となった。例えば、労働時間では、1週間の合計労働時間が60時間を上回る労働者が半数を上回る施設は93あった。未成年の労働は5社で発見されたが、これは年齢確認や偽造書類の管理が十分ではなかったためで、アセンブリレベルでは未成年の労働は発見されなかったとのことだ。

このほか、90の施設で少なくとも月に1度6日間以上連続して働いている記録が半分以上あること、賃金支払いの遅れなど報酬の慣行を実施していない施設が42あること、108の施設で残業に対して法規制で規定されている報酬を支払っていないことなども報告している。

合わせて公開されたサプライヤーリストは、同社の調達支出の97%を占めるという156社が名を連ねる。この中には「iPhone 4S」などにメモリを提供する韓Samsungのほか、東芝、NEC、シャープ、セイコーエプソンなど日系企業も多く含まれている。

Appleのサプライヤーについては、同社製品の人気が高まるにつれて労働環境の悪さが指摘されており、2010年には、iPhoneのメインの製造担当である中国のFoxconnで10人以上の自殺者があったことが大きく報じられた。

Appleは同日、公正労働協会(FLA)に加入したことも明らかにしている。