日本ユニシス 代表取締役社長 黒川茂氏

日本ユニシスは12月20日、2012年度から3ヵ年の方向性と重点戦略を示す「中期経営計画(2012→2014)」を発表し、同日に開催された記者説明会では、今年6月に代表取締役社長に就任した黒川茂氏が説明を行った。

同氏は、「収益低迷の傾向を食い止め、持続的成長へ向けた体質改善が急務」としたうえで、中期経営計画(2012→2014)における必達の目標として、2014年度に「売上高2,800億円、営業利益率5.0%、当期純利益80億円」を示した。同社は2008年度から売上・営業利益ともに落ち込んでおり、今期は下げ止まりの兆しがあるが、引き続き厳しい状況を予想している。

中期経営計画を実現していく具体的なビジョン/目標としては、以下の内容が挙げられた。

中期ビジョン

  1. ICTの最適化を実現できるNo.1パートナーとなる
  2. ICTを梃子にお客様に付加価値を提供できるパートナーとなる
  3. ICTを活用し社会基盤の提供に貢献できるパートナーとなる

基本方針

  1. コアビジネスの拡大
  2. 共創/BPOビジネスモデルの確立
  3. 社会基盤ビジネスへの進出

中期経営計画(2012→2014)のビジョンと基本方針

コアビジネスについては、「これまでカスタマイズを前提とした『テンプレート型』ソリューションの提供が中心だったが、今後はカスタマイズを抑えた『導入型』サービスの提供に転換していく」と、同氏。同社はクラウドサービスとして「U-cloud」を展開しているが、前年度対比(前年比)で毎月の売上高が2.5倍のペースで伸びているという。

社会基盤ビジネスとしては、すでに電気自動車の充電インフラ「smart oasis」や自治体クラウド「SAVEaid」の取り組みが進んでおり、エネルギー/自動車/医療といった顧客企業とのアライアンスを強化することでより拡大していく。売上高の目標「2,800億円」に、社会基盤ビジネスを中心とした新規ビジネスの売上は含まれていないが、同氏は「100億円程度は目指したい」と語った。

同社の主要ビジネスであるメインフレーム事業は、今後、大型案件の契約解除が見込まれるとして経営指標には折り込み済みであり、2014年3月期に売上で16億円、中期計画の範囲からは外れるが2016年3月期には売上で16億円、合計で40億円の減少が予想されるという。

同氏は業績低迷の要因の1つとして「高固定費体質」の改革の遅れを挙げ、その対策として、「固定費削減の継続とコスト構造の改善を行う」と説明した。固定費については、2014年度までに2010年度比15%減の1,030億円を目標とする。

加えて、人事制度においてもスリム化を図る。具体的には、業績評価の徹底を含めた厳格な人事制度に改革するとともに、社員数を9,300人から8,000人に減らすとしている。1,300人の人員減は退職などの自然減や人材の再配置によって8,200人までの減少が見込まれており、大規模なリストラは計画していないという。