米KLA-Tencorは、12月5-7日に千葉県・幕張メッセにて開催されたSEMICON Japan 2011において記者説明会を開催し、同社の新製品とビジネスの状況を明らかにした。

in-situ温度モニタでプロセス装置の状況を把握

同社は半導体製造工程向けの欠陥検査・解析装置のトップメーカーであるが、近年は従来の半導体向け欠陥検査分野だけでなく新規分野へ注力している。今回、注力分野の1つであるプロセス温度測定システム「SensArray」の新製品を発表した。SensArray製品はウェハ形状の温度計測システムであり、プロセス装置のチャンバ内に入れて、プロセス環境が生産中のウェハに及ぼす影響を実際のプロセス経過時間に基づきin-situ温度モニタで管理する。

先端の半導体製造プロセスはプロセス処理温度に敏感であり、ウェハ表面温度のモニタは半導体製造装置の性能の指標となっている。温度データを把握することで、半導体メーカーは製造装置の状態を良好に保ち、さらにプロセス上の不具合の原因究明を迅速に行うことができる。特に要求が厳しくなっているドライエッチング向けに温度モニタの需要が増大しているという。

今回発表した新製品は、「EtchTemp-SE」、「ScannerTemp」、「WetTemp-LP」の3品種。EtchTemp-SE はシリコンエッチングプロセス向けで、高いSN比でのモニタが可能な他、ダメージ耐性を高め、従来は対応できなかったプラズマオンの状態でのモニタを実現している。プロセス条件に依存するウェハ上の熱分布の特徴を把握することで、フロントエンドでのエッチチャンバのマッチングと静電チャックの評価を行う。

ScannerTemp はリソグラフィ向けで、ドライおよび液浸露光装置など重ね合わせ精度が熱変化に非常に敏感な装置の高精度な温度モニタを実現する。厚さは平坦な標準ウェハ厚の770μmで、20~24℃の使用範囲内におけるセンサ間の誤差は0.03℃となっている。

WetTemp-LPは洗浄プロセス向けで、厚さが標準ウェハ厚の770μmとなっている。前世代のウェット洗浄装置は標準ウェハよりも厚いモニタウェハ製品で対応可能だったが、先端の洗浄装置の多くが標準厚のモニタウェハを必要としているため、同製品は先端装置向けのニーズに対応する。ウェハ全面の温度分布を容易に把握することで、ウエット洗浄装置の生産性とマッチング性能を改善した。

SensArray新製品の概要

同社Vice President & General Manager, SensArray/VLSI DivisionのLena Nicolaides氏は、これらにより「半導体メーカーはプロセス装置の有効活用に加え、メンテナンス時期を最適化し、設備投資効率を改善できる」と同製品のメリットを強調した。

KLA-Tencor Vice President & General Manager, SensArray/VLSI DivisionのLena Nicolaides氏(左)とChief Marketing OfficerのBrian Trafas氏(右)

次世代技術では日本市場を重視

一方、同社のコアビジネスである半導体欠陥検査・解析装置分野では、20nmプロセス以降に対応する次世代製品を過去半年の間に6製品を市場投入するなど積極的に展開している。

次世代技術への展望として、450mmウェハの量産開始は数年後と見ているが、大口径化によりプロセスコントロールはさらに厳しくなるため、同社がサポートできる分野も成長が期待できるという。ウェハメーカーや製造装置メーカーは450mmウェハの取り組みを開始しており、同社Chief Marketing OfficerのBrian Trafas氏は「これらのメーカーが多く立地する日本市場は同社にとって重要な市場」と日本市場への期待を述べた。

また、EUVについては露光方式が変わるため、対象となる欠陥やプロセス管理も変わり、検査や解析方式も新たな方法が求められてくる。同社ではすでに露光装置メーカーをはじめ関連するトップカスタマと協業を進めているという。なお、次世代リソグラフィにおけるEUVとArF液浸の選択については、現状では両方の研究開発を進める方針としている。