スウェーデン発のオンライン音楽サービスSpotifyが11月30日(米国時間)に米ニューヨーク市でプレスイベントを開催し、「Spotify Platform」と「Spotify Apps」を発表した。Spotifyをサードパーティに開放するもので、これによりSpotifyが配信する1,500万曲以上を活用した独自のミュージックアプリをサードパーティが構築できる。

Spotifyが音楽プラットフォームに進化

今日最大のソーシャルネットワーキングサービスであるFacebookは、サードパーティがFacebook上でソーシャルアプリを提供できるようにするプラットフォーム化で爆発的な成長のきっかけをつかんだ。Spotify PlatformとSpotify Appsは、Facebookアプリの音楽版と言えるような仕組みだ。Spotify AppsはSpotifyアプリケーション上で提供されるサードパーティ製のHTML5アプリで、JavaScript APIを通じてSpotifyプラットフォームに接続する。

同日よりSpotify Platformベータ版の提供が始まっており、12月中に一般ユーザー向けの正式版がリリースされる予定。イベントでは、Rolling Stone、TuneWiki、Last.fmなど16のローンチパートナーが紹介された。そのうち12のアプリが正式版リリースに含まれる。正式ローンチ後、Spotifyはサードパーティの参加を幅広く受け入れるが、CEOのDaniel Ek氏によると、アプリの品質と安全性を維持するためにAppleのApp Storeのような審査プロセスを設けるという。

Rolling Stoneが取り上げた音楽や同誌が作成したプレイリストを聞けるSpotifyアプリ

Spotify内に設けられたSpotifyアプリの配信場所App Finder

Spotify Appsの利用は、Spotifyのデスクトップ・アプリケーション内に限られる。Ek氏は「われわれは音楽を、どこにでもある水のような存在にしたいと思っている」と語っており、将来的にモバイルへの拡大も計画しているという。

現在Spotifyは、欧州、米国、オーストラリアなどでサービスを提供している。4大レーベルと数多くの独立系レーベルからストリーミング・ライセンスを獲得しており、配信曲数は1,500万曲以上。さらに、今も1日20,000曲以上を追加し続けている。サービスプランは3つ。広告が表示されるベーシックサービスSpotifyは無料で利用可能。無制限ストリーミングのUnlimitedは月額4.99ドル、モバイルデバイスやオフラインをサポートするプレミアムは月額9.99ドルだ。数多くの音楽を自由に聴けることに加えて、アプリケーション(Windows/ Mac)が使いやすく、そしてソーシャル機能に優れていることからSNS世代を中心に急成長を続けている。スウェーデンでは人口の33%に相当する人たちがSpotifyを利用しており、2008年の同サービスの登場からこれまでに不正な音楽使用が22%減少したという。2年半で音楽の著作権所有者に支払った額が1億5,000万ドルを超え、欧州の音楽レーベルにとってiTunes Storeに次ぐ第2位の収入源となっている。今年7月に米国進出を果たし、9月にFacebookの音楽パートナーになった。

9月にFacebookに統合されてから約2カ月でユーザーが700万人増加