国際共同プロジェクトの「SEEDS」(シーズ)は、すばる望遠鏡と同望遠鏡のために新開発されたコロナグラフカメラ「HiCIAO」(ハイチャオ)を駆使して、太陽に似た質量を持つ若い恒星「SAO 206462」の周囲に、小さなうずまき腕状の円盤が存在することを発見した(画像1)。

画像1。今回発見された恒星「SAO 206462」を巡るうずまき腕状の円盤。この中で惑星が成長しつつある可能性もある

SEEDSは、すばる望遠鏡観測戦略枠プロジェクトとして、日本の国立天文台を中心として進めらている国際共同プロジェクトだ。10月18日から20日にかけて米メリーランド州のNASAゴダード宇宙センターで行われた国際研究会でSEEDSチームによって発表され、写真やシミュレーションCGも同センターにより公開されている。

SAO 206462は、おおかみ座の方向の約456光年先にある8.7等級の恒星で、年齢は約900万年と若いと推定されている。星周円盤の直径は約220億km、太陽系に置き換えれば、太陽から冥王星までの平均距離の倍に近い。

このうずまき腕状の構造は、SAO 206462においては今回が初めての発見で、ハッブル宇宙望遠鏡などによる従来の観測でも見つかっていなかった。若い恒星の周囲に見られる円盤は惑星誕生の現場であると推測されるが、今回の観測結果は生まれつつあるかも知れない惑星と円盤構造との関係を調べる上で、重要なカギとなると考えられている。

すばる望遠鏡で撮影されたSAO 206462の画像では、2本のうずまき腕がはっきりと確認でき、このうずまき腕は星周円盤の中に発生する「密度波」として説明できる可能性があるという。もしかすると画像では見えていないが、惑星が存在し、それがこの密度歯の発生源になっているのかも知れないとも考えられている。

動画
コンピューターによるシミュレーションCG(wmv形式 9488KB 1分32秒)