ゼットエムピー(ZMP)は、同社のカーロボティクス・プラットフォーム「RoboCar」シリーズに関する2件の発表を行った。1つはステレオビジョンシステム「RoboVision for Car」の販売を開始したことで、もう1つは1人乗り用の最上位機種「RoboCar MEV」が次世代通信プロトコル「FlexRay」に対応したことだ。
まず、ステレオビジョンシステム「RoboVision for Car」(画像1)の販売について。「RoboVision」は、ルネサス エレクトロニクス製高速並列画像認識チップ「IMAPCAR」(100MHz)を搭載したリアルタイム画像認識モジュールだ。ステレオカメラ、CPUボード、距離計測機能を実装した画像認識ボードが1セットになっているのが特徴である。
RoboVision for Carは、RoboVisionをRoboCarシリーズなどの車両に搭載するのに適したステレオカメラ(画像2)。ステレオ基線長の変更(要は、ステレオ視をすること)により、4.5mから30mまでの距離計測を行えるようになっている。
小型車両、自律搬送台車、車いすなどに設置することができ、前走車や歩行者、障害物などを検出することができ、自動運転や予防安全技術など、雨天支援技術の研究開発に利用できる形だ。
価格は、一般が75万6000円で、アカデミックが63万円。発表と同時に受注を開始した。内容は、ステレオカメラ(レンズ付き)×1、画像認識モジュール×1、CPUボード×1、拡張カメラブラケット×1、専用カメラケース×1。オプションの防水ケースはアクリル製で、10万5000円なっている。
続いては、もう1つの「RoboCar MEV」が次世代通信プロトコル「FlexRay」に対応したことについて。RoboCar MEVは、RoboCarシリーズの中では最も大きい、1分の1スケールで1人または2人が乗れるEVや次世代モビリティの研究開発用プラットフォームである(画像3)。2011年1月から発売を開始し、10月5日からは企業や大学、研究機関向けにレンタルをスタートさせた。
RoboCar MEVは、無線LANやBluetoothが利用できたり、車載LAN規格のCAN(Control Area Network)プロトコルが開示されていていたりするが、今回は通信プロトコルとして新たに次世代通信プロトコルと呼ばれる「FlexRay」を採用することとなった。FlexRayのバージョンは2.1b。
世界標準規格として普及しているのはCANなどだが、安全性能や快適性の向上、環境への配慮などを求められる次世代自動車の場合、複数のECU(CPU)をリアルタイムに制御することが求められるため、より複雑で高速な処理が必要とされる。新たな規格が求められていて、そこで注目されているのがFlexRayというわけだ。FlexRayは最大通信速度がCANの10倍にもなる10Mbps。高信頼で高度な制御に対応が可能なため、モビリティのさらなる電子制御化に適したプロトコルとされている。
FlexRay対応RoboCar MEVは「RoboCar MEV with FlexRay」と呼び、RoboCar MEVをFlexRayバス経由でコントロール可能となる(画像4)。RoboCarの標準プロトコルを実装可能だし、ユーザーが独自に定義したプロトコルを実装することも可能だ。
なお、RoboCar MEV with FlexRayの価格は、ドライブバイワイヤ、ステアバイワイヤを搭載仕様で675万1500円となっている。