Cypress Semiconductorは9月26日(米国時間)、同社のTrueTouchタッチスクリーンコントローラの第4世代(Gen4)ファミリを発表した。

同ソリューションは対応パネルサイズは1.5~12.6型、36/40/65個のセンスI/Oを搭載した製品群で、タッチスクリーンデバイス、携帯電話、タブレットなどの機器ベンダやタッチパネルベンダなどをターゲットに、従来型のタッチスクリーンに加えてディスプレイとセンサを一体化したOn-Cell/In-Cell型のシステムでの活用も想定して開発された。

従来型のタッチスクリーンのほか、次世代のディスプレイとセンサを一体化させたシステムへの対応も想定して開発された

同社では同ソリューションには大きく3つの特徴があるとしている。1つは、今までの静電容量のタッチセンサの設計方法を大きく変えるもので、1チップで無制限にフィンガータッチをトラッキングすることが可能だという。2つ目は静電容量ではセンサラインに駆動電圧(Tx)をかけて容量の変化をみるわけだが、それが10Vと高くしたことから解像度が向上、S/N比(SNR)を従来品比で4倍に向上することに成功している。そして3つ目は、ディスプレイノイズが高いLCDや安価なバッテリで生じるノイズにおいても、静電容量方式のタッチデバイスを実現可能な機能「Display Armor」を搭載し、低コストなタッチアプリケーションを実現することが可能となった点である。

駆動電圧を10Vと高くすることでSNRを向上させることに成功している

DSPを内蔵したARM Cortexコアを搭載しており、400Hzのリフレッシュレートと独自アーキテクチャによる「look-for-touchモード」を活用した1kHzのスキャンレートにより、0.2mm(typ)の精度を実現しているほか、もっとも市場で低電力と言われる製品比で60%減となる2mWのアクティブ消費電力(2フィンガー/60Hz時)と、ディープスリープモード時1.8μWの消費電力を実現している。

ARM Cortexコアを搭載することで、400Hzのリフレッシュレートを実現した。なお、Cortexコアといっても、A/R/Mシリーズそれぞれで複数あるが、なにをどう用いているかについての詳細については非公開とのことであった

また、Display Armorは、LCDとチップ間のシールド層やエアギャップを用意することなしにノイズキャンセラ機能により、プリセットされたレベルを超えるノイズを検出、除去することが可能な機能。これにより、さらなる機器の薄型化と高機能化を両立することが可能になるという。

Display Armorを用いることで、従来以上に薄いタッチスクリーンシステムを実現することが可能となる

さらに、独自機能として「自己+相互容量検出」やACノイズに対するノイズ耐性を提供する「Charger Armor」なども提供される。自己+相互容量検出は、1チップで自己容量と相互容量スキャンを動的に切り替えることが可能であり、これによりホバー、1mmスタイラス対応、防水などの機能が可能になるという。一方のCharger Armorは、最大95Vppのノイズ耐性を提供する機能で、これによりAT&T ZERO Chargerやその他のワーストケースのチャージャでも問題なく動作することが可能となる。

加えて、設計の簡素化を目指した「TrueTouchホストエミュレータソフトウェア」も用意。これを用いることで、第3世代および第4世代のTrueTouchソリューションのスキャンレートやしきい値、フィルタ手法などをカスタマで設定することが可能となるほか、タッチの仕方により、どういった動きになるのかをシミュレーション上で確認することが可能となる。

このほか、同社では「タッチパネル分野では特許紛争が起きてきているが、我々は静電容量式のタッチスクリーン技術のIPベンダとしては老舗であり、そうした心配はほぼないと考えてもらってよい。また、実際に機器ベンダ側の心配として、実際の環境で正常動作するのか、という不安があるが、そうしたニーズに対応する評価キットなども用意してある」と説明しており、今回のソリューションにしてもすでに25以上の特許を取得済みで、200以上の特許を申請中としている。

なお、同ソリューションは、対応OSとしてWindows Phone 7、Windows 8、Androidとしており、2011年9月中のサンプル出荷を予定、量産出荷を2012年第1四半期をそれぞれ予定している。