アクセルスペースは9月15日、北極海航路を運航する船舶の安全性を支援するために、ウェザーニューズとともに、海氷をモニタリングする独自の超小型衛星「WNISAT-1」を2012年9月、ロシアのヤースヌイ宇宙基地より打ち上げることを発表した。

現在、地球温暖化の影響により北極海の海氷の減少が年々進行している。そのため、北極海航路の利用可能期間は逆に拡大することとなっている。同航路を利用すると、欧州-アジア間の輸送の場合、航海距離は現在のスエズ運河経由の2/3、喜望峰経由の1/2となり、燃料費や環境負荷の軽減が可能になるが、活発的に同航路を活用するためには、北極海に浮かぶ海氷の動きをより把握する必要がある。しかし、厳しい環境条件下にある北極海の状況を沿岸からの観測のみで把握することが困難であり、人工衛星による広域海氷モニタリングを行うことで、航路の安全を確保する必要があった。

「WNISAT-1」は、民間企業として世界で初めて打ち上げる商用の超小型衛星。打ち上げ後は北極海域の海氷観測を中心に運用し、ウェザーニューズが海運会社の運行支援に活用することとなる。現在でも北極海域を撮影可能な人工衛星は存在し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの北極海の海氷の減少調査などでも用いられているが、北極海域の撮影に特化したものではないため、北極海域の状況を安定かつ継続的に観察することができなかった。WNISAT-1はウェザーニュースの専有衛星となるため、利用方法や観測タイミングなどの決定を同社が決定することができるため、自社のニーズに基づいて自由に観測計画を立てることが可能となり、海氷の状況などの情報提供サービスの高度化が可能となる。

機体の大きさは超小型衛星の一般的な定義である10kg以下を実現(27cm×27cm×27cm)で、打ち上げ後は太陽同期軌道(600km)にて地上分解能500mの可視光カメラおよび近赤外光カメラを用いて、約1時間半に一度の高頻度で北極海の観測を行うことが可能(撮影画像領域は500km四方/枚)だ。また、寿命は1~3年としている。

なお、打ち上げはピギーバック(相乗り)方式で2012年9月28日を予定しており、発射場はロシアのヤースヌイ宇宙基地としている。

アクセルスペースが開発した超小型衛星「WNISAT-1」