カゴメと新宿南口皮膚科は、トマトジュースを継続的に摂取することで角質層の状態や眼の下のシワなどの肌状態に改善が見られることを確認したと発表した。同成果の詳細は2011年9月10日、11日に開催される第29回日本美容皮膚科学会にて発表される。
太陽光(紫外線)、喫煙、ストレスなどにより体内に過剰に生じた活性酸素は、シミやシワ、たるみなどの肌の老化の原因であることが報告されている。また、トマトの赤い色素であるリコピンは活性酸素を消去する作用があり、肌に蓄積することが明らかになっており、これまでの研究から、リコピンには紫外線によって生じる日焼けによる赤みや肌の老化の予防に役立つことが期待されている。
今回の研究は、リコピンを含むトマトジュースなどを継続的に摂取することで、ヒトの肌状態にどのような効果をもたらす可能性があるのかについて試験を行ったもの。
被験者はカゴメに所属する20歳以上50歳未満の男性15名、女性21名で、試験食品にはトマトジュース、対象飲料としてミネラルウォーターを用い、被験者には1日あたりトマトジュース160g、またはミネラルウォーター160mlを毎日任意の時間に摂取してもらった。
試験は12週間実施され、スケジュールとしては0周目、4週目、8週目、12週目のそれぞれに水分量、油分量、弾力(粘弾性)の測定および全顔画像撮影を行ったほか、0周目と12週目に採血と角質層の採取を行い、血中リコピン濃度の測定と肌状態について以下の項目を評価した。 * 頬部:水分量、油分量、弾力(粘弾性)、角質層の状態(細胞面積、多重剥離度) * 全顔:シワ、色素沈着(シミ)、色味、毛穴、赤味
試験食品摂取前後の血中リコピン濃度を測定した結果、12週目においてトマトジュース摂取群ではミネラルウォーター摂取群よりも有意に上昇することが確認された。すでに血中のリコピン濃度と皮膚中のリコピン濃度には相関があることは報告されていることから、皮膚中のリコピン濃度も高まっていることが考えられるという。
一方の肌状態の評価としては、頬部では角質層の細胞面積を摂取前と後で比較したところ、ミネラルウォーター摂取群では変化がなかったが、トマトジュース摂取群では有意な上昇が確認され、角質層の状態が改善したことが示唆された。その他の項目についてはトマトジュース摂取による顕著な変化は認められなかったという。
また、テープを使って採取した角質層を染色し、角質細胞の面積と折り重なっている細胞の割合を算出することで、角質層の状態について評価した。肌の新陳代謝が正常に行われないと、未熟な細胞が肌の表面に押し出されたり、通常剥がれ落ちるはずの角質細胞が残存したりする。これは、新陳代謝が正常でない肌では角質層の状態が不均一になり、折り重なって採取される細胞が増加することを意味している。
さらにロボスキンアナライザーを用いて、撮影した顔面画像からシワ、色素沈着(シミ)、色味、毛穴、赤味について解析した結果、摂取前後での眼下のシワの数の変化量において、トマトジュース摂取群で8週目と12週目に有意な減少が確認されたが、その他の項目についてはトマトジュース摂取による顕著な変化は認められなかったという。
これらの結果、トマトジュースを継続的に摂取することで、角質層の状態が改善してバリア機能が高まるほか、眼下のシワが減少するといった肌状態に良い効果をもたらす可能性が示唆されたと研究グループでは説明している。