オランダのハーグ地方裁判所は8月24日、韓Samsungが自社特許を侵害しているという米Appleの主張を一部認め、「Galaxy S」など同社のAndroidスマートフォン3機種の販売を禁じる仮命令を出した。ただし、争点の1つとなっていたタブレットでは、要求は認められていないようだ。

ハーグ地裁はAppleが提出した特許侵害主張のうち、1件の欧州特許(EP 2059868)のみをSamsungが侵害しているとする仮裁定を下した。これは携帯型電子デバイス上での写真の閲覧やナビゲーションに関する特許で、これにより、Galaxy S、「Galaxy S II」「Ace」の3機種のSamsungのスマートフォンを暫定的に販売指し止めとした。だが、タブレットについては、まずはAppleの主張を見送ったようだ。

これは、ドイツ地裁が今月はじめに出した、SamsungのタブレットがAppleの特許を侵害しているとする初期判定を受けてのもの。デュッセルドルフ裁判所はここで、Samsungの「Galaxy Tab 10.1」は、Appleが「iPad」で取得したコミュニティデザイン(欧州共同体意匠)を侵害しているとし、ドイツをはじめ欧州数カ国でのGalaxy Tab 10.1の販売指し止め令(仮)を出した。だが、オランダは対象外だったため、Appleはオランダで特許侵害の苦情を出していた。

欧州特許庁(EPO)が発行する欧州特許は、加盟国レベルで有効にする手続きを経る必要がある。オープンソースと法律に明るいFlorian Muller氏のFOSS PATENTSブログによると、EP 2059868が有効な国はオランダのほか、ドイツ、アイルランド、スイスなど数カ国に限られるという。Samsungは現在、オランダを欧州市場の主要な輸入拠点としているが、この仮裁定は韓国のSamsung本社に対するものではないため、Samsungは欧州内の物流を変更することで、引き続き欧州への輸入が可能ではないかという見解も示している。

SamsungはBBCに対し、「今回の裁定は、Galaxy製品ラインが革新的で際立ったものであるということを確認するものだ」と歓迎の意を述べている。今後、侵害とされた1つの特許については控訴を含め、可能性を探る旨を明らかにしている。また、欧州市場での販売に影響を与えないだろうとする予想も示している。