――現在、スマートフォンユーザーはアプリに対価を払うことを受け入れていますが、スマートフォンがマスにリーチしても有料アプリモデルは続くのでしょうか。

今後の進展やユーザーの動向を見ていく必要があります。

個人的には、ダウンロードを有料とするモデルが必ずしもベストだとはいえないと感じています。アプリ内課金は容易になっており、(無料でダウンロードして)ユーザーにある程度使ってもらってから、追加のサービス、情報、機能を有料とする"フリーミアム"の方が適している場合もあります。メディア企業も、このモデルを模索しているようです。

――ここでオペレータが果たす役割はどうなるのでしょうか? 2月のMWC(Mobile World Congress 2011)では、ダムパイプ(オペレータの土管化)の問題が大きく議論されました。

オペレータは国や地域により非常に立場が異なります。日本ではオペレータはある程度の位置を獲得していますが、同じようにオペレータが地位を持つ米国と同じではありません。欧州ではさらに異なります。

ダムパイプ問題については、Ericssonは"スマートネットワーク"として、高機能な付加価値のあるネットワークを提唱しています。

たとえばMtoM(マシン間通信)の場合、フィルタリングの仕組みを取り入れたポリシーベースのコントロールがあれば、夜だけ通信サービスを利用するといった契約を提供できます。

現在、このようなスマートなネットワークサービスは多くありません。2月に米Akamai Technologiesと提携を結びましたが、これはトラフィックの最適化に関するもので、スマートネットワークでも役に立つでしょう。

――EricssonはこのところMtoMに強化しており、企業買収もいくつか行っています。ここでの戦略について教えてください。

オペレータが効率のよいMtoMサービスを提供できるよう、買収や社内開発を通じて強化しています。MtoMではたくさんの端末がネットワークにつながり、ネットワーク側のコスト効率が重要になります。まずはここに取り組みます。

すでにMtoMの顧客もおり、MtoM専用のネットワークも手がけています。分野としては、電気などの使用量を測定するスマートメータリングはすでに始まっており、最近の動きとしては、自動車業界が活発化しはじめました。自動車メーカーの中には、モジュールを組み込む動きも見られます。車に通信機能を組み込むことは、遠隔からの診断ができるのでメンテナンス用途だけみてもメリットがあります。

このほか、コンシューマー家電でもいくつかの企業と話を始めています。企業や製品によって目的は異なりますが、車と同じで遠隔からの診断に期待するところもあるようです。以前から言われているホームオートメーション分野もあります。

――MtoMでは、モジュールやデータの互換性や相互運用性はどうなるのでしょうか? たとえばスマートメーターの場合、オペレータの変更はできるのか?

現時点では、スマートメーターのオペレータの変更は、オペレータ間が合意する必要があります。この点を問題視する声が出ており、互換性のために標準化する動きがあると聞いています。

相互運用性はさまざまなレベルで見ることができますが、Ericssonが担当する接続性では問題はない。ですが、たとえば端末が出すデータはフォーマットや構造がさまざまで、ここは課題となる可能性があります。ですが、モバイル業界ではこのような(相互運用性)問題はよくあることで、解決策を見出せると楽観しています。