バック・グラインド基板の外観

旭硝子(AGC)は、半導体チップの薄型化工程であるバック・グラインド用ガラス製研磨基板の販売を開始したことを発表した。

モバイル機器向け半導体などは、TSVなどの積層技術を用いて、1パッケージの中に複数のチップ(ダイ)を搭載して、チップ数と基盤面積の削減を行っているが、より多くのチップを1パッケージ内に収めるためには、チップの薄型化を進め、積層数を増す必要がある。こうした薄型化は、ウェハの裏面を削るバック・グラインド工程にて行われ、ガラス基板で支持するなどの方法で、50μm程度まで研磨(グラインド)されるが、研磨後に高温処理を行うため、ウェハとBG基板の熱膨張率の違いによる反りを抑制することが課題となっていた。

積層化された半導体の構造(TSVタイプ)のイメージ)

そうした課題を解決するため、同社では今回、フォトマスクなどで培った研磨技術、洗浄技術および検査技術を活用することで、シリコンに近い低膨張の特殊ガラスに精密な面内加工を施したガラス製研磨基板の提供を開始した。

バック・グラインド基板を用いた半導体の製造工程

同研磨基板は、面内板厚均質性(TTV:1μm未満)を実現しているほか、半導体の洗浄技術を応用することで、欠点密度に関する客先要求への対応をクリアしているという。

なお、同研磨基板は、スマートフォンなどのモバイル端末の高機能化、薄型化に向けて提供を進める計画で、生産はAGCエレクトロニクス(本社:福島が担当し、2014年には100億円に拡大するとみられる市場のうち、シェア50%の獲得を目指すとしている。