--日本では訪問販売系ディーラーとのパートナーシップを強化していくことになりますか?

三島 まずは、現在お取り引きがある訪問販売系ディーラーとの連携をさらに強化していきます。これまでにも、A3カラーインクジェット複合機では、建築や不動産、教育分野などで多くの採用実績があります。こうしたジャスティオが得意とする領域に加えて、幅広い業種に向けて展開できる体制を整えたいと考えています。その点では、新たなディーラー網の開拓にも取り組む必要があるでしょう。今後5年後には現在の4倍程度にまで、販売網を増やしていきたいと考えています。

--一方で、ジャスティオシリーズでは、A3カラーインクジェット複合機が好調のようですね。

三島 ここはブラザーの独壇場ですし、ユーザーからも高い満足度を得ています。今回、A3カラーインクジェット複合機「MFC-J6710CDW」を新たに投入しますが、製品化にあたっては日本のユーザーの声を大きく反映させています。これまではプリントスピードが遅いという指摘もありましたが、新製品では、従来機に比べて約2.2倍に高速化し、カラーでは10ipm、モノクロでは12ipmという速度を実現しました。

また、スキャン速度もカラーで約1.4倍、モノクロでは約1.8倍と高速化しています。大容量インクや大容量給紙トレイの採用により、操作性、生産性を高めています。ブラザーはプリンティング事業において、グローバル戦略を展開していますから、グローバルモデルとしての要求を製品に反映する傾向が強いのですが、今回の製品では、日本から要求による進化が中心になったといえます。

A3カラーインクジェット複合機「MFC-J6710CDW」

--A3カラーインクジェット複合機の販売目標を10万台としましたね。

三島 2008年秋にA3カラーインクジェット複合機「MFC-J6490CN」、「MFC-J6890CN」を投入した際には、月5,000台の販売計画を立てました。初年度の約半年間で3万台、2009年度は6万5,000台、そして2010年度は7万台とほぼ計画通りの売れ行きを見せています。

これを新製品では10万台に引き上げるわけですから、前年比1.4倍の大幅な成長を目指す計画となります。そして、A3機全体では12万台を計画しています。製品展示を行う販売店が1.5倍に増えているわけですから、それによる効果や、月間1,000枚程度のプリントボリュームであるにも関わらず、オーバースペックともいえるA3複合機を導入していた企業などへの導入提案を図りたいと考えています。

5月17日の記者発表では、「MFC-J6710CDW」の年間販売目標として10万台を掲げた

一方で、A4モノクロレーザー複合機では、国内で50%以上のシェアを持っていますが、これを今年度は60%以上の獲得を目指したい。この市場は絶対に譲らないという強い意志を持っています。守りから、攻めに転じるのが2011年度以降のブラザーです。プリンティング・アンド・ソリューションズ事業の積極展開を図っていきます。