ストレージファイルシステムとして広く活用されているZFSは、従来のファイルシステムのようにボリューム管理は別のフレームワークに委ねてファイルシステムのみを担当するというものではなく、「ストレージプール(仮想ボリューム)」と「ファイルシステム」という双方の機能を提供している。このため、ZFSのみで柔軟なストレージ構成およびファイルシステム構成を実現することができ、高い管理性を実現している。

ZFSはプールのバージョンとファイルシステムのバージョンとの組み合わせで提供する機能がかわってくる。プールのバージョンが上がればその分機能が追加され、また、新しいバージョンのプールを利用するには新しいバージョンのファイルシステムが必要になる。ZFS zpool and file system version numbers and features (What the krowteN?)にプールとファイルシステムの組み合わせが提供する機能がまとまっており参考になる。掲載されているデータは次のとおり。

zpool zfs 機能 登場OS
31 5 暗号化、スナップショット差分機能、リードオンリープールのインポート、ログデバイスが失われているプールのインポート Solaris 11 Express
22 4 トリプルパリティRAID-Z(raidz3)機能、logbiasプロパティの導入、プールリカバリ機能、ミラースプリット機能、デバイス置き換え機能の拡張、ZFSシステムプロセス Solaris 10 9/10
10 3 ユーザクオータ、グループクォータ、ZFSキャッシュデバイス(L2ARC)、ログデバイスリカバリ、primarycache プロパティ導入、secondarycacheプロパティ導入、ファイルシステム作成時にプロパティの設定可能、フラッシュインストール Solaris 10 10/09
10 3 ゾーンクローンによるZFSクローン作成可能 Solaris 10 5/09
10 3 分離ZILログデバイス機能、ZFSルートファイルシステム(ブートファイルシステム)サポート、ゾーンサポート、再帰的スナップショット名変更機能、スナップショットロールバック機能の改善、スナップショットsendの改善、gzip圧縮機能、複数ユーザデータコピー、スナップショットおよびクローンをクォータや予約領域から除外設定可能、フェーラーモードサポート、ZFSアップグレードオプションの提供、管理権限の移譲機能 Solaris 10 10/08
4 1 iSCSIサポート、zpool履歴機能、ファイルシステム作成時にプロパティ設定可能 Solaris 10 8/07
3 1 再帰スナップショット機能、ダブルパリティRAID-Z(raidz2)、クローンプロモーション Solaris 10 11/06
2 1 プールアップグレード機能、破損したプールのリストア機能、Solaris FMAとの統合、ファイルシステムモニタリング機能 Solaris 10 6/06

Solaris以外ではFreeBSDがZFSを提供している。FreeBSD 8.2-RELEASEがサポートするプールは15、ファイルシステムは4となる。FreeBSD 9-CURRENTはプール28およびファイルシステム5をサポートしており、次期リリースとなるFreeBSD 8.3-RELEASEが28/5のバージョンに対応することになる。