富士通セミコンダクター(FSL)は4月27日、同社のフラッシュメモリ内蔵32ビットマイクロコントローラ(マイコン)「FRファミリ」に、電気自動車(EV)やハイブリッド(HV)車向け動力モーター制御機能を備えた「MB91580シリーズ」3製品(「MB91F585」「MB91F586」「MB91F587」)を追加し、4月下旬よりサンプル出荷を開始することを発表した。サンプル価格はMB91F585で2000円としており、2014年度に3製品合計で200万個の販売を見込むとしている。
同シリーズは、EV・HVの三相モーター制御に用いられる回転角センサの一種「レゾルバセンサ」専用のインタフェース回路を搭載した製品で、モーターの電流と軸回転角を高速、高精度で検出する12ビットA/Dコンバータ(ADC)、R/Dコンバータ(RDC)を搭載することで、内蔵ADCが三相電流を検出するのに同期して、内蔵のRDCが電気角を検出する。また、内蔵のRDCが検出した電気角に対するSIN(正弦)値とCOS(余弦)値を自動的に演算する専用演算回路を搭載しており、モーターのフィードバック制御に必要な情報をハードウェアで生成することが可能。これにより、システムコストの削減が可能となるとともに、高速なフィードバック制御が可能となり、モーターの運動性能向上や省エネルギー化を図ることが可能となると同社では説明している。
さらに、内蔵の周辺機能により生成された情報を、160DMIPSのCPUに搭載された浮動小数点演算専用ユニット(FPU)を用いて、ベクトル変換やPID制御を演算処理することが可能なほか、モーター制御にかかるCPU負荷を抑えることで、動力モーター以外のシステム(DC/DCコンバータやバッテリマネージメントなど)も制御が可能となり、システム統合によるトータルコストの削減も可能となるとしている。