カスペルスキーは4月13日、法人市場向けのセキュリティ対策新製品と、日本市場でのパートナー施策に関する発表を行った。

Kaspersky labのユージン・カスペルスキーCEO

同社が今回発表した製品は、SasS型エンドポイントセキュリティ管理サーバ「Kaspersky Security Center Service Provider Edition」と法人向けMac用セキュリティ製品の「Kaspersky Endpoint Security 8 for Mac」の2つ。

「Kaspersky Security Center Service Provider Edition」は、主に「管理サーバを自社に置きたくない(サーバコストを削減したい)」「社内のセキュリティ担当者の負担を減らしたい」「多拠点経営における(機器や人員、移動費用など)管理コストを削減したい」といった課題を抱える企業ユーザーをターゲットとしている。

この製品は、同社のクライアント端末向け製品の一括管理やメンテナンスをリモートで実現する「Kaspersky Administration Kit」のSaaS版として位置付けられており、パートナー企業には顧客(契約先の企業)ごとの仮想管理サーバや顧客管理者向けのWebコンソールが提供される。

カスペルスキー 代表取締役会長 加賀山進氏

この管理コンソールでは、顧客ごとにセキュリティポリシーやタスクの統合管理ができるほか、ウイルスの検知状況やソフトウェアライセンス数・期間などのレポーティング機能が備わっており、一括管理が可能となっている。

「Kaspersky Security Center Service Provider Edition」はWindowsのサーバ環境に対応。サービスの提供は同社からではなくHOTnet(北海道総合通信網)やユーザーサイドなどのパートナー企業を通じて行われることになる(2011年6~7月提供開始予定)。

また、同時に発表された「Kaspersky Endpoint Security 8 for Mac」は、上述の「Kaspersky Administration Kit」での統合管理に対応したMac用の法人向けクライアント製品で、最新のウイルス検知エンジン「Anti-Virus Engine 8.0」を搭載したことにより、スキャン速度の高速化やリソースの最適化などが図られているという(2011年5月16日提供開始予定)。

都内で開催された今回の発表会にはKaspersky labのユージン・カスペルスキーCEOが来日。「今年から体制を一新し、日本市場向けの投資も増やす」という考えを示した。その一環として同社は、5月末頃をメドに日本法人の本社を東京 秋葉原に移転・拡張する(現在は岩本町)。

さらに、1月から同社日本地域の経営責任者を務める加賀山進氏は、「1000億円市場と言われる国内のセキュリティ市場はすでに"ゼロサムゲーム"となっているが、従来のライセンス売りモデルからサービスモデルへの転換期を迎えている国内のIT市場の動向をとらえ、"工夫"を施して長期的な視点でビジネスを展開・成長させていきたい」と説明した。

今回発表された2製品は、いずれもパートナー企業による間接販売となる。同社は法人市場での成長のカギとなるパートナー企業の拡大については、「2011年末に(2010年の110社から)250社まで増やす」(加賀山氏)という計画を明らかにしている。これらパートナー企業との連携を強化することなどを目的として、同社は今後、現在の43名体制から70名体制に人員を増強。移転先の新オフィスには製品のトレーニングを行うための専用ルームが設けられる予定だという。

「Kaspersky Security Center Service Provider Edition」のWebコンソールのログイン画面

「Kaspersky Security Center Service Provider Edition」のWebコンソール画面