インターリーブPFCおよびFCCrM
インターリーブPFCは、例えば、薄型ノートブック・アダプタやLCD-TVのような厳しいフォーム・ファクタを満足する必要があるアプリケーションで特に人気が出てきた新しいソリューションです。インターリーブは大きなステージの代わりに、2つの「小さな」ステージを並列接続して実現されます。実際には、2つの95W PFCステージを組み合わせて、190W PFCプリ・レギュレータを形成します。
また、2つのステージを位相外れで動作させると、電流リップルが低減されます。特に、入力電流は連続導通モード(CCM)の場合と似ており、バルク・コンデンサ内の実効電流は大幅に減少します。これらの特性は参考文献[2]で詳細に説明されています。
このアプローチには、実装が容易、より多くの小型コンポーネントを使用できる、熱放散に優れているなど、いくつかの利点があります。特に、インターリーブPFCステージは大型インダクタの代わりに2個の小型インダクタを使用します。
NCP1631は、2フェーズのインターリーブPFCアプリケーション用FCCrMコントローラです。NCP1631はマスタ/スレーブ・コントローラと異なり、2つのブランチがFCCrMで独立して動作するインタラクティブ・フェーズ・アプローチを使用しています。さらに、NCP1631独自のインターリーブ技術は、始動、故障、過渡シーケンスなどあらゆる条件において、2ブランチ間で実質的に希望の180°位相シフトを維持します。
我々のアプリケーション(ワイドメイン、190Wアプリケーション)では、2つの同一FCCrM 95-W PFCステージを設計する必要があります。各インダクタとも、(最大)ピークおよび実効電流はCrMの場合と同じですが、全電力の半分に対して計算する必要があります。言い換えると、次式のようになります。
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インターリーブPFCの各チャネルについて、1フェーズFCCrM PFCの場合と同様に(ただし、全電力の半分)、ブースト・インダクタを計算しなければなりません。この場合も、((fsw)min)はマージンを持たせるために、120kHzの発振器周波数よりも約20%低く設定します。これは次式のようになります。
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このアプリケーションには、ブランチあたり1個のEFD20コア、270-μHインダクタを選択します。
結論
ここでは、周波数クランプ臨界導通モード(FCCrM)によりPFCステージで小型インダクタが使用できるようになることを説明しています。これは特にインターリーブ方式の場合に言えます。以下の表に、動作モードごとに、190W(入力)、ワイドメイン、13mm最大厚さのTVアプリケーションについて計算したインダクタ値を示します。
ここで提示した内容は、主としてON Semiconductorの研究に基づいており、同社では薄型LCD-TVの電源リファレンス・デザインを提供しています。
また、インダクタは、Wurth Elektronik eiSosの開発および提供によるものです。
参考文献
[1] 『Power Factor Correction Stages Operating in Critical Conduction Mode』、アプリケーション・ノートAND8123
[2] 『Characteristics of Interleaved PFC』、アプリケーション・ノートAND8355