3月4日、東京電機大学神田キャンパスにおいて、「Device2Cloud(D2C)コンテスト」の第1回目となる決勝大会「Device2Cloudコンテスト 2011 決勝大会」が開催された。

Device2Cloud(D2C)コンテスト決勝の舞台となった東京電機大学の神田キャンパス

D2Cコンテストは、組み込みアプリケーション分野において、グローバルな視点で製品の企画・開発ができる人材の育成を目的に、東京エレクトロン デバイス(TED)が主催となり、日本マイクロソフト、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン、アットマークテクノ、サムシングプレシャス、アフレルの各社の協賛により開催される学生を対象とした組み込みアプリケーション開発コンテスト。

応募資格は高校、専門学校、高等専門学校(高専)、大学、大学院、職業訓練校などの学生で、1チーム2~3名での参加となる(今回は特別処置として最大4名までのチーム構成が可能)。開発環境としては、ハードウェアはアットマークテクノのArmadillo-440、センサボードにFreescaleのJM Badge Boardで、ソフトウェアはWindows Embedded Compact 7 CTP版、BSPとしてサムシングプレシャスのLilasの機能限定無償版(Basic Version)にJM Badge Borad用ドライバなどを追加したコンテスト向け特別版を用いることとなっている。

2010年の8月10日より参加申し込み受付を開始し、同12月1日より開発構想書と5分のビデオプレゼンテーションによる予選を実施、最終的には10チームの参加があり、それを勝ち抜いた4チームが今回の決勝大会へと駒を進めた。

決勝大会に出場した学校名/チーム名、アプリケーション名は以下のとおりで、各チーム15分のプレゼンテーションと5分間の審査員との質疑応答の形で行われ、それぞれの審査員の評価のもと、優勝者が決定された。

予選はビデオでのプレゼンテーションであったが、決勝は審査員を前に実際に15分間のプレゼンを行った

学校名 チーム名 アプリケーション名
奈良工業高等専門学校 T-YKLAB どすこいっしょ
奈良工業高等専門学校 チームElectric connectouch music
筑波大学大学院 SiNONOME ねいったー
静岡県立大学 the tissue 勤務シフト管理システム

審査員は、広島工業大学の長坂康史教授(委員長)、東京電機大学の柴合治教授、TEDの成田隆氏、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンの佐藤奨氏、日本マイクロソフトの太田寛氏、サムシングプレシャスの古賀信哉氏(技術委員長)の6名。

これら審査員の評議の結果、優勝はSiNONOMEの「ねいったー」。同アプリケーションは、センサを搭載したスマートピロー(枕)の状況を感知し、今寝ているのか、起きたのか、などの状態を時計と連動させたTwitterに送信し、例えば睡眠時間が短いと思った友人から、寝たほうが良いなどの連絡を貰ったりするコミュニケーションツールとしても活用できるアプリケーション。

スマートピローの挙動と時計を連動させ、寝ている人の状況を判断。自動的にその様子をTwitterに送信するというアイデア。突拍子もないようアイデアのように思えるが、実際は規定のハードウェアの機能をすべて活用することで実現しており、見た目以上に高度な組み込みアプリケーションとなっている

受賞理由を説明した柴合教授は、「身近にある時計にネットワークがつながるとこんなことになるというわかりやすいアイデアで面白く、かつそれでいて色々な技術が入っており、審査の中でも高い評価を得た。スマートピローが本当に寝ている状況を分かるのかどうかや、Twitterで夜通し寝てることを報告することの良し悪しはあるものの、代わりにα波を測定する機能や脈拍を測る機能を付け、Twitterと別のクラウドアプリと連携させるといった応用が期待できる、夢を見させてくれる優れたアイデアとして、今後ますます発展していってもらいたい」と評価した。

総評として長坂教授は、「今回、第1回ということで、どのくらい完成に近いものを持って来れるのか期待していた。結果としては作りこんだチームもあれば、さらに構想を練ってきたチームも居り、それぞれが光るところを持ち良いところを出していた」と各チームの健闘を称え、「ここまで来るには普段の授業という殻を破り、色々とやるだけの力が必要。決勝までこれただけでかなりの力があると思ってもらいたい。その、授業以外に何か1歩を踏み出すということが重要。今後も2歩、3歩と踏み出して言ってもらいたい」と今後の期待を示した。

また、「若い頭を活用することで新しいアイデアが出てくると思うので、日々の生活の中で、こんなことが足りない、こんな風に使っていきたいと思って生活していってもらい、新たなビジネスを生み出していってもらいたい。D2Cは今回が1回目、来年、再来年とやっていくつもり、また、ぜひ参加してもらいたい」と今後の参加を促した。

審査員各員と決勝大会参加者の集合写真

なお、第2回目のD2Cコンテストは、2011年夏頃から参加募集を開始する予定としている。