日立製作所は3月2日、英国運輸省の都市間高速鉄道計画(IEP:Intercity Express Programme)において、同社が出資する特別目的会社「アジリティ・トレインズ」を通じ、正式契約に向けた交渉を再開することを発表した。

今後、日立とアジリティ・トレインズは英国運輸省を含む関係者との間で最終的な契約条件の交渉を行い、年内に正式契約を締結する見通し。契約成立後、アジリティ・トレインズ社は、約30年にわたり英国鉄道事業者に対する車両リース事業を展開し、日立はアジリティ・トレインズより同社のリース事業向けの車両の製造、それらの保守事業を一括受注する。

アジリティ・トレインズは2009年2月12日、英国運輸省と正式契約に向けた交渉を実施してきたが、英国政府より2010年5月に実施された英国総選挙への影響回避を理由として、同年2月に契約交渉が凍結された。

日立はすでに英国において高速鉄道の実績があり、2009年12月に開業した英国初の高速鉄道「ハイスピード1(HS1)」に同社製高速列車「Class395」が採用されている。Class395の走行スピードは時速140マイルで、これまで80分かかっていたロンドンのSt. Pancras International駅と英国南東部のAshford Internatinal駅間を37分で結ぶ。

2009年12月に英国高速鉄道「HS1」が開通した時の様子

2009年に英国初の高速鉄道「HS1」に採用された日立製高速列車「Class395」

今後、日立は英国および欧州における鉄道システム事業強化に向け、欧州における鉄道車両の生産・組立拠点の設立を計画している。現段階の拠点の最有力候補地は英国・イングランド北東のダーラム州ニュートン・エイクリフで、500人規模の生産が行われる予定。