Quest Software Data Protection, Virtualization & Cloud Business Unit Vice President and General Manager Carl Eberling氏

バックボーン・ソフトウエアは2月25日、新製品発表セミナー 「Discover the Power of NetVault 2011」を開催した。今年1月、Quest Softwareによる同社の買収が完了し、いよいよ新生クエスト・ソフトウェアとして舵取りがスタートする。同セミナーでは、新会社としての戦略や製品の開発ロードマップについて説明が行われた。

初めに、Quest SoftwareのData Protection, Virtualization & Cloud Business Unit Vice President and General Manager務めるCarl Eberling氏が、同社の概要、製品戦略、データ保護製品の開発ロードマップなどを紹介した。

同氏は、同社のミッションについて、「オンプレミス環境とクラウド環境が混在することなどによる複雑性の解決」と述べた。そして、「大規模企業は統合製品を求め、小規模企業は革新的な製品を求めるが、われわれは双方のニーズにこたえられる」と、同社の製品力をアピールした。

同社が革新的な製品を提供できる根拠としては、「収益に対し20%を占める研究開発予算」と「積極的な買収」が挙げられた。

続いて、同氏は製品に関する説明を行った。同社の製品は「Identity Management」「Performance Management」「Data Protection」「Development」「Migration」「Administration」という6つのジャンルの下、提供されている。

バックボーンの製品「NetVault Backup」や「NetVault FASTRecover」はこれら6ジャンルのうち「Data Protection」に属している。同ジャンルには両製品のほか、Questの「vRanger」や「Recovery Manager」が含まれるが、同氏は「すべての製品を一元管理できる製品『Quest Unified Data Protection』の開発を進めている。これから18ヵ月から24ヵ月後くらいにリリースしたい」と明かした。

バックボーン・ソフトウエア 代表取締役社長 大越大造氏

続いて、バックボーン・ソフトウエアの代表取締役社長を務める大越大造氏が、「新生Quest Japan」のビジネス戦略について語った。

同氏はまず「一般に、買収にはネガティブなイメージがあるかもしれないが、当社の場合はポジティブにとらえている。違うジャンルのベンダーではなく、同じISVでバックアップのポートフォリオを探していたQuestが買収に名乗りを上げたのでよかったと思っている」と、買収が同社にとってチャンスであることを強調した。

さらに、買収のメリットとして、Questは今期の売上が前年比10%増の767億ドルで、500億ドルのキャッシュを持っているといったように財務力があるほか、パートナーから見ると同社の物理データ保護製品に加えて、これまで取り扱っていなかった仮想/アプリケーションレベルのデータ保護製品を組み合わせて活用可能になることが挙げられた。

また、両社の統合によって、データ保護関連の開発者が170人に増えており、これまで以上に開発に注力できる環境が整ったという。

合併後、国内のクエスト・ソフトウェアの代表取締役には同氏が就き、ビジネスをハンドリングしていく。同氏は、「日本において、買収によって変わったことは『社名』と『上司』と、表面的なものでしかない。これまでのビジネスを継続しつつ、新たなステップを踏み出したい」と、力強く語った。

今後、バックボーンの主力製品であるNetVault BackupとNetVault FASTRecoverはそれぞれ、「Quest NetVault Backup」「Quest NetVault FASTRecover」と、Questブランドに移行する。

NetVault Backupは今年6月までにバージョン8.6がリリースされる予定だ。同バージョンでは、拡張性とパフォーマンスが向上し、コマンドラインインタフェースが拡張される。また3月には、CBTを有効にする「VMware- Plug-in」が追加される。

NetVault FASTRecoverは2月にバージョン4.2がリリースされたばかりだが、9月にはバージョン4.3がリリースされる予定だ。4.3では、これまでのWindows File Systemとマイクロソフトの「SQL Server」「Exchange Server」のサポートに加え、Windows上で稼働するOracle Databaseにも対応する。

バックボーン・ソフトウエアはQuestと統合することで、物理データのみならず、仮想レイヤにアプリケーション・レイヤとあらゆるレイヤのデータを保護できるベンダーに生まれ変わる。Big Data時代と言われる昨今、バックアップの重要性はますます高まることは間違いなく、企業システムにおいて同社が果たす役割も大きくなるだろう。