タカラバイオは、同社子会社である米Clontech Laboratoriesが、簡便に遺伝子発現の制御を行うことができる研究用試薬「Tet-Express Inducible Expression System」(Tet-Express)を開発したことを発表した。2011年2月18日より、全世界に向けて発売を開始しており、国内価格は18万600円となっている。
Clontechは、遺伝子が細胞内で発現するタイミングやその発現量を厳密に制御することができる研究用試薬として、1996年よりTetシリーズ製品を販売してきた。同シリーズは、がん遺伝子の機能解析など、動物細胞を用いた遺伝子の機能解析研究における有用な実験手法として用いられており、現在は同社のコア製品群の1つとなっている。
今回発売されるTet-Expressは、同社独自の構造改変によって細胞透過性を付与した転写活性化因子が採用されており、この転写活性化因子は、タンパク質として直接細胞に導入することが可能で、従来製品で行われていた遺伝子導入法による転写活性化因子の細胞への導入プロセスを不要としている。その結果、実験に必要となる期間を従来品比で短縮することが可能になると同社では説明している。
また、従来の製品では、転写活性化因子が導入された細胞にさらにドキシサイクリンという物質を加えることで、目的遺伝子の発現誘導を行っていたが、Tet-Expressでは転写活性化因子の添加のみで発現誘導を引き起こすことができるため、よりシンプルに遺伝子制御実験を行うことができるようになっている。
なお、タカラバイオでは、新製品およびTetシリーズ関連製品で、発売1年間で全世界で4億円の売り上げを目指すとしている。