情報通信研究機構(NICT)は、2011年2月15日10時44分(日本時間)に、大型の太陽フレア現象を確認したことを発表した。大型の太陽フレア発生は約4年ぶりで、この数年、静穏であった太陽活動が活発化に転じたことを示唆しているとNICTでは指摘しており、今後は数年間にわたり、通信衛星や放送衛星などの人工衛星の障害、GPSの測位誤差、短波通信障害などの発生確率が高くなっていくと予測している。

今回確認された太陽フレアにともなうX線強度は、通常時の100倍以上(最大時)であり、この規模の太陽フレアの発生は2006年12月以来となるもので、2008年1月頃から始まった第24太陽活動サイクルは、これまでの太陽サイクルと比べ静穏であったが、今回の現象により、今後の太陽活動は活発化に向かう可能性があるとしている。

2000年から2019年までの太陽黒点相対数のグラフ。2011年以降は赤線で予測値を表示している(提供:NOAA/SWPC)

太陽フレアが発生すると、その規模にともなって、さまざまな環境変動が地球近傍の宇宙空間でも生じる。これらの宇宙環境変動には、フレア発生直後(数分程度)に確認される変動と、数日かけて地球に到来してから確認される変動があり、前者については観測により、太陽フレアによる太陽電波バースト現象と電離圏および地磁気変動が確認されており、後者についても、2月17日(木)~18日(金)未明頃に地球に到来すると予想している。

すでに確認された現象として、太陽フレアにともなう太陽電波バースト現象として、太陽監視望遠鏡により、大型の太陽フレア現象を確認したほか、電波望遠鏡により、太陽フレアにともなうコロナ質量放出現象、およびその前面の衝撃波から発生したと考えられる電波が観測されている。

NICT平磯太陽観測施設のHα望遠鏡で2011年2月15日14時45分に撮影された太陽フレア現象後の黒点群の状況(赤点線内)

また、太陽フレア発生にともない、稚内、東京、沖縄を含む日本全域上空の電離圏において、NICTの電離圏観測装置がデリンジャー現象を観測したという。

NICT平磯太陽観測施設の広帯域太陽電波望遠鏡(HiRAS)で観測された2011年2月15日10時50分~11時10分(日本時間)の電波バースト現象。暖色系ほど電波強度が強く、濃紺色は静穏レベルに対応。IV型電波バーストはコロナ質量放出現象に伴う電波放射、II型電波バーストは衝撃波からの電波放射と考えられている

さらに、今回の太陽フレアにともない、今後、地球周辺の宇宙環境が大規模に変動し、地磁気の乱れや地球周辺の高エネルギー粒子の到来による通信衛星や放送衛星などの人工衛星に障害が発生する可能性があるほか、オーロラ活動が活発になることがあるとしている。

加えて、電離圏の状態が変動し、短波通信などの無線通信への障害や、GPSを用いた高精度測位の精度が一時的に劣化する現象が生じる可能性があることを指摘している。

なお、NICTでは、今後の活発化にともない、今回の現象のような宇宙環境が乱れた状態が発生しやすくなると指摘しており、今後の宇宙環境の状態をNICTの宇宙天気予報ポータルサイト上で随時提供していく予定としている。