「サーバ仮想化でコスト増」が多発、その要因とは?

クエスト・ソフトウェア 代表取締役社長のジョー・シニョーレリ氏

「仮想化によってサーバを統合しても、その上で動くアプリケーションやミドルウェアなどを管理するにはそれぞれの管理製品が必要になる。仮想化の取り組みが思ったようなコスト削減や管理性の向上につながらないのは、仮想化したプラットフォームごとに管理コンソールが増えてしまい、管理が複雑化するのが大きな一因だ」

そう語るのは、クエスト・ソフトウェアの代表取締役社長を務めるジョー・シニョーレリ氏だ。同社は、Fortune 500などの主要企業を主な顧客に、アプリケーション、データベース、ミドルウェアの統合運用管理製品などを提供する企業。国内でも2003年から展開しており、Active Directory、Exchangeサーバの運用管理製品、Oracle Database/SQL Server向けのパフォーマンス最適化ツール、バックアップ/リカバリツールなどで大きな販売実績をあげている。データベースに特化した統合開発環境「Toad」などはご存知の方も多いだろう。

そんなクエスト・ソフトウェアが、現在多くのユーザーから寄せられる課題として挙げるのが、仮想化したプラットフォームをどう効率よく運用管理していくかという点だ。サーバ仮想化というと、仮想化したサーバの管理自体に注目が集まることが多い。だが、シニョーレリ氏が言うように、サーバ台数を統合・集約しても、サーバ上で稼働するアプリケーションやミドルウェアの数は、ビジネス上の理由などから減らすのは難しい面がある。結果として、システム管理者は、物理環境に加えて、仮想環境のアプリケーションやミドルウェアそれぞれの管理コンソールまでモニタリングする必要が出てきてしまうのだ。

「仮想環境の運用管理でまず問題になるのが、さまざまな種類のものが稼動する物理環境と仮想環境を単一のコンソールから管理できるかという点だ。著名な運用管理製品は、物理環境と仮想環境の統合管理に力を入れているが、異種ハイパーバイザーが混在する仮想化環境を単一のコンソールでモニタリングすることはできない。また、もう1つの問題として、そうした仮想環境で稼働するプラットフォームを同じコンソールから管理できるかという点がある。運用管理製品の多くは仮想環境の管理に対応しているものの、それぞれのプラットフォームごとに専用の管理ツールが必要で、単一のコンソールからモニタリングすることはできない」(同氏)

実際、シニョーレリ氏によると、仮想化導入に日本よりも早く取り組んできた米国では、サーバ仮想化によってハードウェアコストを削減できても、運用管理ソフトの数が増えることで、トータルコストが仮想化以前よりも高くなってしまった事例が少なくないという。そんななかで、同社は、複数のハイパーバイザーに対応し、なおかつ、さまざまなアプリケーションやミドルウェアを単一のコンソールから管理できる製品として「vFoglight」を提供。「管理をシンプルにする」(同氏)ことを強く提案している。

単一コンソールでどこまで管理できるのか?

vFoglightは、同社の仮想化ソリューションのなかで、仮想環境の「分析」、「監視」を担う製品だ。クエスト・ソフトウェアのシステムズ・コンサルティング部システムズコンサルタントの古山早苗氏によると、仮想化の運用管理では、環境の複雑化によって、「問題の発見、診断が難しくなり、解決策そのものを講じられなくなる」という状況に陥る。vFoglightによって、リソースの把握、トラッキング、最適化などを行うわけだが、その際に、単一コンソールによる一元管理という特徴が生きてくるという。

クエスト・ソフトウェア システムズ・コンサルティング部システムズコンサルタントの古山早苗氏

「大きな特徴としては、管理コンソール上で仮想環境のリソースを一覧表示し、そのままリソース配分の設定までを行える点が挙げられる。仮想環境に対応したシステム管理製品の多くは、リソースの把握だけしかできなかったり、設定の際に別のツールを用いなければならなかったりするが、そういった必要はまったくない」

そもそもクエスト・ソフトウェアは、物理環境におけるWindowsシステム管理やデータベース管理で実績あるツールを提供してきた企業だ。仮想環境の運用管理においても、物理環境の運用管理製品の特徴をそのまま利用できるように製品づくりを進めている。例えば、仮想化ソリューションには、vFoglightのほか、物理環境から仮想環境への移行を支援する「vConverter」、仮想環境のデータ保護、複製を支援する「vRanger」、「vReplicator」、環境の最適化を行う「vOptimizer」、自動化を行う「vControl」などを提供しており、それぞれ、物理環境と同様の機能を実現しているという。

一方で、仮想環境で必要になる新たな機能についても、製品のなかに組み込まれ、シンプルに利用できるようになっている。例えば、「大規模企業からは、チャージバックやSLAといったニーズが増えており、中堅や中小企規模の企業では、キャパシティ・プランニングに対するニーズが強い」(古山氏)が、これらはvFoglightの機能として提供されているものだ。

「マルチハイパーバイザー対応の単一コンソール管理」という点では唯一の製品となるvFoglightだが、実際に導入することで、どの程度のコスト削減が得られ、管理性の向上につながるのか。そんななか、クエスト・ソフトウェアでは3月9日(水)、「クラウド/サーバ仮想化導入メリットを引出す運用管理セミナー ~導入の裏に潜む運用管理の落とし穴と対策~」と題した、仮想化の運用管理にまつわる課題と製品の導入事例を紹介するセミナーを開催する。

仮想化が普及し、仮想環境の運用管理の今後に注目が集まっているだけに、vFoglightの管理機能や先進事例の講演は、大いに参考になるはずだ。