IDC Japanは1月31日、国内スマートシティ関連IT市場の2010年支出額推定値と2015年までの予測を発表した。これによると、同市場の支出額規模は2010年が2,407億円、2011年が2,767億円(前年比成長率14.9%)、2010年~2015 年の年間平均成長率は17.3%で2015年には5,352億円へ拡大すると予測している。

国内の同市場を牽引する要素としては、改正省エネ法など温室効果ガス排出量規制への対応、組立製造業やプロセス製造業を中心とする電気自動車(EV)/プラグインハイブリッド車(PHV)の本格生産と海外展開に向けたバリューチェーン強化、高速公共交通網の整備に合わせて進む「コンパクトシティ」を起点とした中心市街地型都市再生の取り組みなどが挙げられている。

今後は、モバイル端末やスマートカードを介したモビリティネットワークの上で、テレマティクスシステムと組み合わせたEV/PHVのエネルギー/安全管理サービス、デジタルサイネージシステムやソーシャルメディアと組み合わせたリアルタイム型の情報配信サービス、健康医療関連サービスなど堅調な成長を維持すると同社は見ている。

エネルギー分野の電力/ガス業界を中心とするスマートグリッドネットワークは、2020年~2030年頃にピーク期を迎える老朽設備の更新サイクルに合わせた対応が見込まれており、IT支出が急拡大するのは2015年以降になるという。

ITスペンディング リサーチマネージャーの笹原英司氏は、「ICTベンダーは、アプリケーション保守運用、情報ライフサイクル管理、資産管理、センサー/Machine-to-Machineネットワーク、ダイナミックプライシングなど、社会インフラとしてのスマートシティの運用/設備管理の効率化を支援する製品/サービス群を強化するとともに、法制度対応などを考慮して、柔軟性を高める改善活動を継続的に行うべき」とコメントしている。

国内スマートシティ関連IT市場投資額予測(2010年~2015年) 資料:IDC Japan