National Instruments(NI)の日本法人である日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、JSOLと協力してシミュレータ「Motor-HILS」を開発、日本NIより提供開始することを発表した。価格は500万円からとなっている。

対象は自動車や家電、重工業、建設などの業界におけるモータ開発・設計、モータ制御器開発などに従事するエンジニアとしており、同システムを利用することで、高価なモータリング設備を所有していなくても、モデルを使用したシミュレータであるSILS(Software In the Loop Simulation)やHILS(Hardware-In-the-Loop-Simulation)などを使用し、高精度な制御コントローラやパワーユニットの解析、検証を行うことが可能となる。

モデルベース開発においては、開発上流の制御設計工程で使用されるプラントモデルの精度をいかに高められるかが大きな課題となっている。特に、高トルクで高速回転するモータを制御するコントローラを開発するには、磁気飽和や空間高調波などモータ個々の非線形特性を考慮する必要があり、従来の保存則に依存する電圧方程式、物理方程式ベースモデルだけでは精度に限界があった。

JSOLが提供する「JMAG(電磁界解析ソフトウェア)」は、有限要素法(FEM)を用いたモデリングツールで、モータ個々の形状依存性や、材料の非線形性(鉄心の磁気飽和、温度依存)を考慮することが可能であり、今回、同社が開発したSILS/HILS のシミュレータ用に有限要素モデルから、リアルタイム実行可能なビヘイビアモデルを生成するJMAGの機能群である「JMAG-RT」を使用することで、JMAGの詳細モデルをNIのリアルタイムシミュレータと統合することが可能となり、モデル精度と計算時間を高次元で両立させることができるシミュレータが実現できたと両者では説明している。

なお、Motor-HILはFPGAを用いることで1μs前後のモデル計算速度を実現なほか、精度に応じて「Ld/Lqモデル」もしくは「空間高調波モデル」のモータモデルが使用可能となっており、従来の電圧方程式ベースのシミュレータに比べ、より実機に近い応答が実現できる環境となっている。