マイクロソフトは9日、企業市民活動をテーマにしたイベント「Microsoft Citizenship Day 2010」を東京で開催した。テーマは「クラウドで拡がる 人と社会の可能性~つながる、ひろがる、かわる~」。なお、Citizenship Dayの開催は、今回が初となる。

マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏

イベントの基調講演に登壇したマイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏は、「マイクロソフトは、ソフトウェアと情報技術の分野で革新的な技術を提供しようとしている。ビルゲイツは、これまで何度もハードウェアの分野に参入しようとしたが、そのたびに思いとどまり、ソフトウェア1本でやっていこうということになった。マイクロソフトは、会社の業績にかかわらず、得意分野であるソフトウェアで社会にお返しをしようと考え、これまで56万人を支援してきた。できないことができるようになる、あるいは便利になるなど、ソフトウェアは人にパワーを与えることができる。とくに弱者にとっては大きなツールになる。そして、ネットワークを通してソフトウェアを利用するクラウドは、離れた人をつなぐという意味で大きな材料になる」と述べた。

基調講演の後に行われたITベンチャー向けの分科会では、エコシステム経営をテーマにセミナーを開催。マサチューセッツ工科大学発のベンチャー支援組織「MITエンタープライズフォーラム」の日本副理事長である吉田宣也氏は、ITベンチャーが成功するポイントを解説した。

MITエンタープライズフォーラム 日本副理事長 吉田宣也氏

吉田氏は、企業のうち10年後に生き残っている企業は6%、30年後に生き残っているのは1万社のうち2.5社しかないと、ベンチャー企業の生き残りの難しさを指摘。失敗する企業は、「資金が足りない」、「優秀な人材が集まらない」、「思ったように売れない」という3つの言い訳をする共通点がある説明した。

吉田氏は、その要因として「準備不足」「調査不足」「計画不足」「楽観的になりがちな数字」を挙げ、企業は資金が集まらないリスク、競合が出てくるリスク、会員の有償化率が思うように伸びないリスク、広告スポンサーが計画通りに増えないリスクなど、あらゆる想定外のリスクに備える必要があるとした。

そして、リスクへの対応を考える場合は、成功企業のIRのページを参考にするといいとアドバイスし、IRの決算報告書などには、リスクの項目があり、それを見れば成功した企業がどれほど多くのリスクを想定しているかがわかるはずで、投資家はそれを見て投資すべきかどうかを判断すると説明した。

吉田氏が挙げた「成功した企業にみられる共通点」

マイスター 常務取締役 野沢宇一郎氏

また、函館でVisioのアドインソフトを開発しているマイスターの常務取締役 野沢宇一郎氏は、地方のベンチャーが成功するポイントとして、「他社がやらないことをする」、「他の会社と協業する(下請けはやらない)」、「情報源を確保する」、「待っていても仕事は来ない」という4つを認識することが必要で、マイクロソフトを活用するといいとアドバイスした。その理由を野沢氏は、「競合になることはない」、「情報源がある」、「協業できる先を知っている」「セミナーを多数開催している」点を挙げ、セミナーの講師を行うのが、お金のかからないもっとも効果的な広報活動だと説明した。

そして、吉田氏、野沢氏がともに重要だと指摘したのが、自社だけなく、顧客や取引先など企業をとりまくすべてのステークホルダーが利益を得る関係で、吉田氏は「互恵の関係」、野沢氏は「WIN WIN WINの関係」と表現した。

吉田氏が定義する「エコシステム経営」