ブロケード コミュニケーションズ システムズは11月26日、データセンター向けEthernetスイッチ「Brocade VDX 6720シリーズ」を発表した。同シリーズは10ギガビットEthernetに対応しており、24ポートの「VDX 6720-24」と60ポートの「VDX 6720-60」の2モデルがある。

同製品は米国では15日にすでに発表されており、国内での提供も同日より開始されている。

ブロケード コミュニケーションズ システムズ 代表取締役社長 青葉雅和氏

代表取締役社長の青葉雅和氏は、同製品がデータセンターやクラウド環境のネットワーク基盤を構築する製品だとして、同社のクラウド環境における強みを説明した。

「マルチベンダーのサーバやストレージによって構成されるクラウド環境では、インフラのオープン性が必要となるが、当社はさまざまなベンダーについてOEMの実績がある。また、仮想化環境ではSANの技術をEthernetに搭載するということが行われており、ここでもわれわれはファイバチャネルで培った技術や実績を生かすことができる」

同氏は、同製品が今年6月に発表された統合ネットワークアーキテクチャ「Brocade One」に基づく製品第1弾であると説明した。Brocade Oneは「Brocade Virtual Access Layer(VAL)」と「Brocade Virtual Cluster Switching(VCS)」の2つの技術と管理ツール「Brocade Network Advisor」によって構成される。VCSを構成するコンポーネントがVDX 6720シリーズだ。

VCSは「サーバの仮想化、クラウド環境のスケーラビリティ」と「仮想マシンの移動に対する管理性」を向上し、データセンターのスループット最大化を図る。VCSの技術要素は「Ethernet Fabric」、「Distrbuted Intelligence」、「Logical Chassis」だ。

Brocade Virtual Cluster Switching(の構成要素

ブロケード コミュニケーションズ システムズ データセンターテクノロジー部 部長 小宮崇博氏

これらのうち、同社が最も注力しているのがLANとSANを統合し、データセンター内にレイヤ2のネットワークを配置する「Ethernet Fabric(イーサネット・ファブリック)」だ。イーサネット・ファブリックは階層型のEthernetアーキテクチャと異なり、スパニングツリーを必要とせず、レイヤ2のアーキテクチャとなっている。

データセンターテクノロジー部 部長の小宮崇博氏は、「スパニングツリーにはデータが流れないブロックポートがあり、帯域幅が狭くなっている。これに対し、スパニングツリーを使わないイーサネット・ファブリックではすべてのポートを利用できるため、データ転送量が増える」と説明する。また、イーサネット・ファブリックではスイッチを足すことで、簡単に性能を上げられる。

イーサネット・ファブリックの仕組み

同氏はVDX 6720シリーズの特徴について、「最低限16ポート購入してもらい、その後は必要に応じてソフトウェアライセンスでポートを増やせる。また、サービスを停止することなく、ファームウェアをアップデートできる機能"Hot code load"も1U、2Uのスイッチにしては珍しいはず」と説明した。

VDX 6720シリーズは新たに開発された「Brocade Network OS」を搭載しているが、同OSは「Brocade Fabric OS」を継承しており、「相違点はコマンドラインだけ」(同氏)だという。OSに限らず、同シリーズは新たな製品ラインとして発表されたが、「技術は同社がこれまで培ってきたものがベースとなっている」と、同氏は説明した。

24ポートモデルの米国での参考価格は10,700ドルとなっている。

VDX 6720シリーズ 24ポートモデル

VDX 6720シリーズ 60ポートモデル