ボクシングを通じて、対照的なふたりの友情や成長、そして闘いを描いた青春映画『ボックス!』のDVD&Blu-rayが2010年11月26日にリリースされる。この作品を監督した李闘士男監督に話を訊いた。

李闘士男
1964年生まれ。日本大学藝術芸術学部卒業時にはすでに、ディレクターとして活動。とんねるず、タモリ、ダウンタウンなど、様々なタレントのバラエティ番組の演出を手掛ける。2004年、『お父さんのバックドロップ』で劇場映画監督デビュー。他の監督作品に『デトロイト・メタル・シティ』、『てぃだかんかん ~海とサンゴと小さな奇跡~』など、最新作は『ボックス!』

肉食系 男子の可愛らしさを描く

――李監督は『お父さんのバックドロップ』では「プロレス」、『デトロイト・メタル・シティ』では「渋谷系とデスメタル」、『てぃだかんかん』では「沖縄サンゴ」、そして『ボックス!』では「アマチュアボクシング」というように、扱う題材がニッチですね。

李闘士男(以下、李)「確かにアマチュアボクシングはニッチな題材ですが、『ボックス!』の原作にある主人公 カブの魅力を描きたいというのが、一番の映画化の動機で、ボクシングは二番目の要素でした。カブの魅力は何かというと、いまどき珍しいくらいまっすぐでバカで、純粋なところです。いまどきの皆が憧れるやんちゃな男の子そのものなんですね。最近、草食系男子が流行してるけど、男の子は本来肉食系だと思うんですよ。そんなカブの魅力を市原君で描きたかったんです。カブは、ただ肉食系なだけでなく、表現は下手ですが、彼の愛情は深くて強い。そういうカブの可愛らしさを描きたかった」

――出演作品ごとに印象が変わる高良さんも、ユウキ役でまた新しい顔を見せてくれました。

「これまでの高良君は表現をオブラートに包んだような演技が多かったので、今回は感情表現をストレートに演じてもらうようにしました。これが大変でしたが、彼の努力で『ボックス!』のユウ君が生まれたんだと思います」

――元々、日本映画では、この作品のようなストレート過ぎる演技は、避けられるような印象があります。あえて、抑揚を抑えた演技が自然だというような……。

「僕の最も嫌いな演技がそれなんですよ(笑)。僕は日本映画やドラマにおける『会話』というもののスタイルに凄く違和感を感じてるんです。実際の人間は感情が高ぶると、相手の台詞を待たないし、最後まで聞かないで言葉をかぶせるてくるはずなんです。それがリアルな会話だと思うんです。相手のセリフがちゃんと終わるまで待ってから、こちらが対応してセリフを言うとかおかしいと思うんですよね」

ボックス!

幼馴染の天才ボクサー カブ(市原隼人)と再会した気弱な優等生ユウキ(高良健吾)は、カブの強さに憧れ恵美寿高校ボクシング部に入部する。真剣に練習に取り組むユウキは、次第にカブを凌ぐほどの「強さ」を身につけていくのだった……
(C) 2010 BOX! Production Committee

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